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仏・スペインの研究チーム、早老症のマウス治療に成功

 【パリ30日PRN=共同JBN】加齢を促進し早すぎる加齢を引き起こすまれな病気であるプロゲリア(早老症)の原因となる遺伝子が特定されてから5年経つが、スペインとフランスの研究者(オビエド大学のカルロス・ロベス氏と同僚、フランス・マルセーユのInserm/AP-HMのニコラス・レビー氏と同僚)がマウスを使った治療に成功した。この治療は既存の薬理的分子2つを結びつけたもので、これまで治療できなかったこの病気の進行を遅らせた。

 保健機関の認可を得なければならないが、この治療はまもなく欧州で15人の子供に対して試験される。これはこの病気に罹った人のいる家族にとって大きな前進であり、また一般的に言っても通常の加齢の過程を理解する上で大きな前進である。

 この研究はネイチャー・メディシン誌に掲載されており、遺伝子の特定から治療法開発、計画中の臨床プロトコルまで、フランスの30時間テレビ(テレトン)募金活動の寄付のおかげでフランス筋ジストロフィー協会から財政的支援を受けている。

 最近マウスで実証された治療は2つの既存の薬理的分子、スタチン(アテローム性動脈硬化症と心臓血管リスクの治療と予防)とアミノビスフォスフォネート(骨粗しょう症の治療)の組み合わせに基づいている。フランスとスペインの研究者はこの治療が病気の影響を弱め大幅に余命を引き上げることを実際に見せた。

 ニコラス・レビー氏のチームは2003年に遺伝子を特定しているが、同チームが先に示したようにプロゲリアは切り取られたタンパク質、プロゲリンが細胞に蓄積することから発症する。プロゲリンはその毒性が(通常の細胞では消去される)タンパク質に固着したままの脂肪酸の存在とリンクしている。研究者はプロゲリンの毒性を抑制もしくはブロックするためこの脂肪酸合成の過程を探った。実のところ薬理的分子はこの合成の過程のある段階をブロックすることで知られていた。

 彼らはいくつかを試した後、スタチンとアミノビスフォスフォネートの組み合わせがプロゲリンへの脂肪酸の固着を防ぎ、毒性を減らすことに注目した。プロゲリンの毒性が少なければ少ないほど病気の進行は遅くなる。

 勇気づけられるこの結果に従って、マルセーユのニコラス・レビー氏によって試みられるこの治療に基づく臨床プロトコルが始まろうとしている。この臨床試験は3年継続され、欧州でプロゲリアにかかっている25人のうち15人が関係する。このプロトコルの目的は病気の進行を遅らせることであり、現在極めて限定的である病気にかかった子供の余命を可能な限りのばすことにある。

 ネイチャー・メディシンの記事はhttp://dx.doi.org/10.1038/nm.1786を参照。

(共同通信PRワイヤー)


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