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がん国際研究グループが抗乳がん剤治療でFDAの認可取得

 【エドモントン(カナダ)30日PRN=共同JBN】腫瘍学トランスレーショナルリサーチ(TRIO)の1部門であるがん国際研究グループ(CIRG)は30日、米食品医薬品局(FDA)がCIRGの臨床試験BCIRG006に基づき、HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)陽性早期乳がんの術後補助治療として、化学療法剤タキソテール(登録商標、一般名:ドセタキセル)とカルボプラチンをハーセプチン(登録商標、一般名:トラスツズマブ)と併用する新しい治療法を承認したと発表した。BCIRG006試験でも研究が行われたAC-TH(ドキソルビシン、シクロホスファミド、その後のタキソテールとハーセプチンの投与)レジメン(投薬計画)も同時に承認された。

 BCIRG006臨床試験の結果は、TCHレジメンがAC-T対照治療群と比較して病気の再発リスクを3分の1減少させた(HR=0・67、95% CI[0・54-0・83]、p=0・0003)ことを示した。実験的AC-TH治療はAC-T対照治療群と比較して病気の再発リスクを39%減らした(HR=0・61、95% CI[0・49-0・77]、p<0・0001)。

 患者の年齢、腫瘍のホルモンへの反応(ホルモン受容体の状態)、あるいはがんのリンパ節への転移(結節状態)などに関係なく、TCHとAC-THではDFSのメリットが見られた。2つの実験治療群(TCHとAC-TH)の間でDFSの統計的に重要な違いは全くなかった。

 TCHレジメン(投薬計画)はAC-T対照治療群と比較して死亡リスクが34%減少し(HR=0・66、95% CI[0・47-0・93]、p=0・0182)、OSもまた大幅に改善した。AC-THはAC-T対照治療群と比較すると死亡リスクの42%減少(HR=0・58、95% CI[0・40-0・83]、p=0・0024)に関係していた。2つの実験治療群(TCHとAC-TH)の間でOSの統計的に重要な違いは全くなかった。

 さらに、TCHレジメンはAC―THと比較すると、うっ血性心不全リスクが5倍低かった(TCH、AC-TH、AC-Tの治療を受けている女性でそれぞれ0・4%、1・9%、0・3%だった)。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の血液・腫瘍科主任教授でCIRG議長のデニス・スレーモン氏は「BCIRG006臨床試験の結果は、HER2陽性乳がんの治療でわれわれに新しいオプションを提供する。このアプローチはHER2の変化に関する最新の分子情報を利用してハーセプチンの際立った利点を保持することを可能にし、一方でほぼすべての大きな副作用を伴わない。BCIRGの目的は当初の段階で議論があったが、臨床前のきちんとした科学的根拠に基づいており、このためわれわれは乳がんで新しい薬剤の併用試験を行った」と語った。

 ▽BCIRG006について
 BCIRG006はCIRGが実施した第3相マルチセンター臨床試験で、サノフィ・アベンティス(フランス・パリ)の支援とジェネンテック(米国サウスサンフランシスコ)の追加支援を受けた。

 ▽研究目的
 HER2陽性、リンパ節陽性、ハイリスクのリンパ節陰性で手術可能な乳がんに罹っている女性3222人が治療に参加し、無差別に下記のいずれかの治療を受けた。
 *AC-T(1073人):3週間4サイクルでドキソルビシン(A, 60 mg/m2)とシクロホスファミド(C, 600 mg/m2)の投与を受け、その後3週間4サイクルでタキソテール(T, 100 mg/m2)が投与されるアントラサイクリン系対照レジメン。

 *AC-TH(1074人):3週間4サイクルでAC、その後3週間4サイクルでタキソテール(登録商標、T, 100 mg/m2)とハーセプチン(登録商標、H, 4 mg/kg負荷用量でその後Tと同時に1週間で2mg/kg投与)、さらにハーセプチン単剤投与(3週間ごとに6 mg/kg)で1年間のハーセプチン治療を完了するアントラサイクリン系実験レジメン。
 *TCH(1075人):3週間6サイクルでタキソテール(T, 75 mg/m2)とカルボプラチン(C; AUC 6 mg/mL/min)、加えてハーセプチン(H, 4 mg/kg負荷用量でその後TCと同時に1週間で2 mg/kg投与)、さらにハーセプチン単剤投与(3週間ごとに6 mg/kg)で1年間のハーセプチン治療を完了する非アントラサイクリン系実験レジメン。
 この臨床試験の主要評価項目は、それぞれの実験レジメン(TCHあるいはAC-TH)の無病生存率(DFS)を標準的なアントラサイクリン系化学療法(AC-T)と比較することだった。

 副次的評価項目には全生存率(OS)と心臓毒性の評価が含まれた。最初の分析(主要評価とみなされる)は2006年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表され、2007年のSABCSで最新の結果が明らかにされた。
 ▽有効性結果

 AC―T対照治療群と比較してTCH治療群(HR=0・67、95% CI[0・54-0・83]、p=0・0003)は3分の1(33%)、AC-TH治療群(HR=0・61、95% CI[0・49-0・77]、p<0・0001)は39%とDFSが大幅に改善された。患者の年齢、腫瘍のホルモンへの反応(ホルモン受容体の状態)、あるいはがんのリンパ節への転移(結節状態)などに関係なくTCHとAC-THではDFSのメリットが見られた。2つの実験治療群(TCHとAC-TH)の間でDFSの統計的に重要な違いは全くなかった。

 AC-T対照治療群と比較してTCHレジメンは死亡リスクが34%減少(HR=0・66、95% CI[0・47-0・93]、p=0・182)し、OSも大幅に改善された。同様にAC-T対照治療群と比較すると、AC-THは死亡リスクの42%減少(HR=0・58、95% CI[0・400・83]、p=0・0024)したことに関係していた。2つの実験治療群(TCHとAC-TH)の間でOSの統計的に重要な違いは全くなかった。

 ▽耐性
 最も一般的な有害事象は等級3-4の発熱性好中球減少だった(AC-T:9・1%、AC-TH:11・0%、TCH:9・8%)。その他の一般的な等級3-5の有害事象は下痢(AC-T治療群:3・0%、AC-TH治療群:5・1%、TCH治療群:4・9%)と好中球減少を伴わない感染症だった(AC-T治療群:7・0%、AC-TH治療群:5・5%、TCH治療群:3・6%)だった。

 症候性心イベントとうっ血性心不全の3年間の累積発生率(AC-T、AC-TH、TCHでそれぞれ0・3%、1・9%、0・4%)は、AC-TH治療群よりもTCH治療群の方が低かった。

 ▽CIRGとTRIOについて
 CIRGはフランスのパリとカナダのアルバータ州にオフィスを構える非営利研究機関。約45カ国に2000人の研究者と450がんセンターの国際的ネットワークがあるCIRGは、がんの全身治療を評価する数多くの新しい画期的な国際的研究を行ってきた。最近では、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を本拠とするトランスレーショナル・オンコロジー・リサーチ・インターナショナルの研究者ネットワークと提携してTRIOを結成した。献身的な研究者ネットワークと臨床試験サービスに加えて、TRIOにはUCLAのスレーモン/TRIO研究所も含まれる。スレーモン教授と同僚科学者は分子マーカーの検証、新しい生物剤の臨床前評価、薬剤作用メカニズムの特性解析を可能にする臨床前モデルを開発、改作してきた。この臨床前の作業は、同グループの患者を対象にした将来のがん試験の臨床前仮説を生み出す。このトランスレーショナル・アプローチはBCIRG006臨床試験で採用された。

 TRIOは革新的で標的を絞った治療法を臨床診療に適用しトランスレーショナルながん研究を進めることに専心している。

 詳しい情報はhttp://www.trioncology.org まで。

(共同通信PRワイヤー)


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