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非侵襲の子宮筋腫治療システム、FDAが臨床試験を許可

 【ティラトカルメル(イスラエル)28日PRN=共同JBN】「非侵襲のMRgFUSを受けた女性と侵襲的な子宮筋腫手術を受けた女性で出生率を比較する研究」。

 インサイテック社(InSightec Ltd.)は28日、原因不明の不妊症と診断された内視鏡切除不可能な子宮筋腫の女性の妊娠の可能性を高めるためにMR誘導収束超音波(MRgFUS)を使った「エクスアブレート(ExAblate=登録商標)」システムの効果、安全性を評価する臨床試験を同社が実施することを米食品医薬品局(FDA)が許可したと発表した。

 米国など20カ所で原因不明の不妊症と診断された子宮筋腫の女性を合計650人募集する。女性の半数はエクスアブレート・システムで治療を受け、残りの半数は筋腫を手術で除去する。

 研究では妊娠、出産関連の合併症を含めそれぞれの処置の安全性を判定する。試験の主要な効果目標は、どちらの処置の方が治療後3-15週の妊娠からの健康な出産の割合が高いかを判定することである。研究者たちは治療、研究による通院以外に必要だった臨床的な対応医療措置や投薬のコストも調べる。

 再生内分泌学者でメイヨ・クリニック(米ミネソタ州ロチェスター)産婦人科教授のエリザベス・A・ステュアート博士は「子宮筋腫と不妊の関係は完全には解明されていないが、子宮筋腫がある不妊の女性の多くは筋腫を手術で除去した後、健康な子供を産む。非侵襲的なエクスアブレート・システムは筋腫組織を正確に標的として周囲の健康な部分には損傷を与えないので、妊娠の可能性を残しておきたい子宮筋腫の女性にとって安全な方法であることを示唆している」と語った。
 女性がエクスアブレートによる子宮筋腫治療を受けた後、妊娠、出産に成功したことを示す臨床証拠は増え続けている。これまでに17人の女性が合併症なしで出産時体重が平均7・5ポンド(3・4キロ)の健康な子供を産んだ。10人の女性が正常な経膣出産で、7人が帝王切開出産だった。これまでのケースでは治療関連の悪性事象は報告されていない。
 デューク大学医療センターの産婦人科教授で産婦人学科長のヘイウッド・L・ブラウン博士は「女性が子ども持つ時期が遅くなっているので、妊娠時に子宮筋腫がある女性の数は多くて増えている。証拠に基づく検討の結論としては、筋腫によって子宮腔がゆがんでいる場合は、妊娠率を高め、流産率を下げるために筋腫を切除する方が望ましいという証拠がある。不幸なことに、子宮壁で成長した筋腫は腹部の大手術である筋腫摘出によって切除する必要があり、その死亡率は筋腫切除の利点を上回りかねない」と述べている。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医療センターの産婦人科教授兼産婦人学科長のゴータム・チョードゥリ博士は「少数のケースでは、筋腫摘出手術の後に子宮摘出が必要になる。それほど重大でない例でも筋腫摘出には術後癒着の危険があり、それが受胎能力を弱め、この手術を受けてから子宮の治癒を待って妊娠を試みるまでに時間がかかることになる。非侵襲的な治療法なら、筋腫によって妊娠に問題が生じる女性にとって大きな恩恵になるだろう」と語っている。

 インサイテックのコビ・ボートマン社長兼最高経営責任者(CEO)は「妊娠しようと努力している何千人もの女性に影響を与える可能性があるこの重要研究の開始をFDAが許可したのはうれしい。わが社は治療のパラダイムを侵襲的な手術から変えることに依然として高度にコミットしている。これまでに世界で約4000人の女性が症状のある子宮筋腫の治療に侵襲手術ではなく非侵襲性のエクスアブレート治療を受けることを選択している。この試験でわが社の期待が確認されれば、もっと多くの女性が非侵襲治療を選択できるだろう」と述べた。
 2007年10月に欧州連合指定の認定機関がCEマークを変更して妊娠を望む欧州の子宮筋腫の女性がMRgFUSを治療オプションとして医師と考慮できるようにした。この変更は、女性がMRgFUS治療を受けた後、安全に出産したことを示す研究データが積み重ねられたことに基づいている。エクスアブレート・システムは2002年10月に子宮筋腫のためのCEマークを受け、FDAは避妊をやめた症状のある子宮筋腫患者の治療法として2004年にこのシステムを承認した。

 ▽子宮筋腫について
 子宮筋腫は子宮内の良性腫瘍で、出産可能な年齢の女性の30%以上にある。症状のある女性は月経過多、貧血、痛み、圧迫感に苦しみ、不妊も多い。既存の治療オプションは子宮切除、筋腫摘出、子宮筋腫の動脈塞栓などで侵襲性、最小侵襲性であり、入院と数週間の回復期が必要である。エクスアブレートは外来でできる処置で、患者はその日のうちに帰宅して、1、2日以内に仕事に戻ることができる。

 ▽エクスアブレートについて
 エクスアブレートは-人体構造を視覚化し、治療計画を立て、治療結果をリアルタイムで監視するためのMRI(磁気共鳴画像)と高出力の収束超音波を組み合わせて、体内の腫瘍を非侵襲的に熱で除去する画期的なMRgFUS技術を使った初めてのシステムである。このシステムだけが提供するMR温度測定によって、医師はリアルタイムで治療をコントロール、調整して標的の腫瘍を十分に治療する一方で周辺組織には影響が及ばないようにすることができる。症状のある子宮筋腫の治療法として2004年にFDAから承認されたエクスアブレートは革新性と人類への奉仕の可能性が認められており、2004年欧州連合(EU)情報社会技術大賞、ウォールストリート・ジャーナルの2004年技術革新賞、アドバンスド・イメージングの2005年ソリューション・オブ・イヤー、レッド・ヘリング100欧州2007賞を受け、現在は世界経済フォーラム技術パイオニア2008の1つに選ばれている。

 ▽インサイテックについて
 インサイテック(InSightec Ltd.)はエルビット・イメージング(EI)、ゼネラル・エレクトリック、メディテク・アドバイザーズLLC各社と従業員が所有する株式非公開会社である。画期的なMR誘導収束超音波技術を開発し、次世代の手術室に変えるために1999年に創立された。本社はイスラエルのハイファ近く、従業員は約160人、1億ドル以上を研究、開発、治験に投資している。米国本社はテキサス州ダラス。詳しい情報はhttp://www.insightec.comへ。

(共同通信PRワイヤー)


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