エレメントシックスとIoP、次世代合成ダイヤ研究完了
【アスコット(英国)20日PRN=共同JBN】工業用ダイヤモンドメーカーの英エレメントシックス社(E6)研究者主導で、ストラスクライド大学光学研究所(IoP)と協同してきたマイクロマシンド・ダイヤモンド・デバイス・イニシアチブ(MIDDI)のプロジェクトは20日までに成功裏に完了した。英貿易産業省が一部資金供与したMIDDIの目的は、ダイヤモンド・マイクロ電子工学機器に関して世界をリードする技術を開発し、日本や米国に対して競争上の優位を欧州企業に与えることだった。
MIDDIが最も重視してきたことは、合成単結晶ダイヤモンドに基づく次世代の高周波、高性能電子機器の開発に利用できる最新のマイクロ、ナノスケールの製造技術のツールキット開発だった。エレメントシックスは既に化学的蒸着法を使う電子グレードの合成ダイヤモンド製造で世界的リーダーである。
ストラスクライド大学光学研究所の役割は、プラズマ・エッチング技術における専門知識を提供することで、それは機器組み立てに必要な高精密の表面特性を定義するため利用された。MIDDIは1995年に設立され、これまでの技術では処理の難しかったエッチング素材における専門的技術知識のセンターになっていた。IoPは材料面の専門知識によって、半導体光電子工学、ソリッドステート・レーザーエンジニアリング、バイオフォトニクスにおける同研究所の成功に貢献してきた。
IoPアソシエートディレクターであるマーティン・ドーソン教授は「MIDDIプロジェクトは、英国の大学と産業が技術開発成功を目指して協力できる模範例だった。エレメントシックスはプロジェクト挑戦の骨組みを作り、ドーピング(不純物添加)特性を制御した最新のダイヤモンド構造を提供し、大学側は革新的なドライエッチング・アプローチの開発でこの挑戦に対応し、共同で特許を取得中である。これは真に製造可能なダイヤモンド電子工学への道を開くとともに、エレメントシックスの支援を得てストラスクライド大学が現在重要な存在感を示すダイヤモンド・フォトニクスを含む多くの新技術に対するより幅広い意味合いを持つことになる」とコメントした。
▽3つの分野の成果
このプロジェクトは、エレメントシックスがダイヤモンドで加工される有効な電子光学機器を開発する助けとなる3つの分野で大きな成果を上げた。第1に、このプロジェクトは、原子スケールの粗さを最低限に抑えた表面を持つ基板とエピタキシャル層の生成に使われる合成、処理の技術向上につながった。高精密でナノスケールのダイヤモンド層を製造する能力は、多くの複雑な処理過程と合成ステップに依存している。高周波のアクティブな電子機器にとって、それぞれの層は原子構造的になめらかであり、極めて鋭いドーピング特性を持っていなくてはならない。
第2に、エレメントシックスは現在、ナノスケールでボロン添加ダイヤモンドの薄膜を沈積することができる。デルタMESFET(金属半導体電界効果トランジスタ)のようなダイヤモンドに基づくアクティブスイッチング向けに提案される機器コンセプトは、トランジスタの活動を支えるため2つの添加物のない本質的なダイヤモンド層の間に挟まれる薄膜を利用する。最後に、MIDDIはトランジスタ機器組み立てに適した堅牢で再生産可能なドライエッチング技術の開発につながった。
エレメントシックスのコマーシャルビジネスマネジャーであるクリストファー・オグリビー・トンプソン氏は「これら成功例は既にエレメントシックスの新しい子会社の設立で実証されている。そのダイヤモンド・マイクロウントシックスの新しい子会社の設立で実証されている。そのダイヤモンド・マイクロウエーブ・デバイシズ社は、世界最初となる商用の高周波、高性能ダイヤモンド・トランジスタの開発を目指している。さらに、MIDDIの下で開発されたこの技術は、放射線プロテクターやマイクロオプティク機器など先端アプリケーションに使われるその他の分野のダイヤモンド技術にも利用できるかもしれない」と語った。
▽エレメントシックスについて
エレメントシックスは、広範なアプリケーションに対する製造産業全体で使用される高品質スーパーマテリアルで世界をリードするサプライヤーである。同社は工業アプリケーションに使われる合成ダイヤモンドや新しいエンジニアリング材料開発の先駆企業であり、それらの工業アプリケーションは例えば光学、機械、熱処理、エレクトロニクス、自動車、通信、医療の各産業に広がっている。同社は売上高5億ドルを上回り、約4000人を雇用しており中国、ドイツ、アイルランド、スウェーデン、南アフリカ、ウクライナ、英国に確立した製造・処理プラントを保有し、世界的な流通網によって支えられている。
▽光学研究所について
光学研究所は1995年に設立され、ストラスクライド大学の一部として(研究成果の)商業化を目指す研究部門である。研究所の主要目的は、光学の分野で学術的研究および産業アプリケーションと開発の間のギャップを埋めることである。研究対象の関心は半導体材料と機器、実用的ですべてソリッドステートのレーザー、マイクロLEDアレイ、特にバイオフォトニクスなど広範なアプリケーションなどに向けられている。光学研究所はストラスクライド大学のグラスゴー・シティーセンター・キャンパスにある。同研究所は産業界と契約したり、協調的研究をしている。同研究所には多数の博士号(PhD)と工学博士号(EngD)課程の学生を抱え、企業にさまざまな技術をライセンス供与している。
(共同通信PRワイヤー)
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- [国際情報]エレメントシックスとIoP、次世代合成ダイヤ研究完了 2008/05/22 木曜日