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マイクロソフト、ヤフー買収断念を声明

 【レドモンド(米ワシントン州)4日PRN=共同JBN】マイクロソフト社(ナスダック:MSFT)は4日、ヤフー社(Yahoo! Inc.:ナスダック:YHOO)に対する買収提案を撤回したと発表した。

 マイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は「われわれは今でも当社の買収提案がマイクロソフト、ヤフー、市場全体にとって理にかなったものだったと考えている。ヤフーとの合併を追求する当社の目標は市場でより大きな選択肢を提供し、それぞれの株主と従業員に実質的価値を生み出すことだった」と語った。

 同氏は「われわれは買収金額を約50億ドル引き上げるなど最善の努力をしたが、ヤフーが当社の提案を受け入れるために歩み寄ることはなかった。慎重に検討した結果、われわれはヤフーの経済的要求が当社の納得できるものではなく、提案を撤回することがマイクロソフトの株主、従業員、その他利害関係者の最大の利益であると考えている」と語った。

 また、バルマー氏は「われわれは画期的な新サービスと他のビジネスパートナーとの戦略的取引を通じて事業を拡大する優秀なチームと魅力的な計画を抱えている。ヤフーは当社の戦略を促進できたであろうが、私は当社が目標に向かって前進を続けることができると確信している」と語った。

 マイクロソフトのケビン・ジョンソン社長(プラットフォーム、サービス担当)は「われわれは新しいツールとウェブ技術に多額の投資をしており、研究成果と広告主の満足度を劇的に改善した。われわれは今後も有機的成長と提携関係を通じて当社の規模を拡大する」と語った。

 以下はマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOからヤフーのジェリー・ヤンCEOにあてた書簡の本文である。

 2008年5月3日
 ジェリー・ヤンCEO殿
 ヤフー社
 701 First Avenue
Sunnyvale, CA 94089

 親愛なるヤン殿

 3カ月余りが経過した現在、われわれはマイクロソフトとヤフーの合併の可能性に関するプロセスについて結論に達した。

 最初に、私は当社の提案を検討してくれた貴殿、貴殿の経営陣、ヤフー取締役会に対し個人的に感謝の意を表したい。皆様方すべてが本件に払った時間と関心に感謝する。特に貴殿が個人的に費やした時間に感謝する。われわれが行った今週の話し合いは特に有益で、何が可能で何が可能でないかが初めて本当に明確になったと感じている。

 私はヤフーが当社の提案を受け入れるために歩み寄らなかったことに失望している。私は1月31日に初めて当社の提案を電話で貴殿に伝えた。なぜならば、両社の合併はそれぞれの株主に現実的価値をもたらし、消費者やパブリッシャー、広告主に市場でより大きなイノベーションと選択肢を与えるだろうと考えたからである。当時、62%のプレミアムを申し出た当社の決定は、こうした強い確信を反映していた。今週の話し合いで、われわれは1株当たり33・00ドルまで当社の提案を引き上げる意思を表明したが、これはこの共同の機会に対する当社の確信を再度反映したものだった。この株式買い取り価格の引き上げは当初提案の時価と比較すると、貴社の株主に新たに約50億ドルの価値をもたらすものだった。また、1月31日の貴社株価の終値と比較すると70%余りのプレミアムを反映していた。しかしこれでも不十分であることが判明し、貴社はさらに50億ドル以上あるいは少なくとも当社の33・00ドルの提案に1株当たり4ドル上積みすることを最終的に主張された。

 また、今週の話し合いをさらに検討した結果、マイクロソフトが貴社株主に直接提案を行うのは賢明でないことが私には明らかになった。このアプローチは必然的に長期化する委任状争奪戦と最終的には株式公開買い付けに至ると思われる。われわれと貴社との話し合いにより、われわれは貴社が当面、ヤフーをマイクロソフトの買収対象に望ましくないものとする措置を講じるだろうとの結論に到達した。

 われわれは、「敵対的」買収提案にはヤフーが現在提供する重要な有料インターネット検索条件でグーグルへのアウトソーシングに関係する、あるいはそれにつながる新しい取り決めを追求することで対応するとみられる貴社の計画を特別な関心を持って見守っている。当社の見解では、有力な検索プロバイダーとのこのような取り決めは、(以下のような)さまざまな理由でヤフーの買収を望ましくないものにする。

 ― まず、それは貴社の「パナマ」(Panama)有料検索システムに対抗するグーグルの使用を広告主に奨励し、ヤフー独自の戦略と長期的可能性を根本的に損なう。これはまた、貴社の検索広告とディスプレー広告戦略、さらにそれらを取り巻くエコシステムを寸断する。これは将来の成長を促進する貴社のディスプレー広告事業への信頼感を損なう。

 ― この点を考慮すると、それはわれわれ合併企業のインターネットにとって重要な広告システムに関する仕事を進めている優秀な技術者を保持するヤフーの能力を損なう。
 ― さらに、それはマイクロソフトを含めいかなる買収企業も継承したくない多くの規制・法務問題を引き起こす。とりわけ、このことは既に支配的な有料検索プロバイダーとの間で市場競争と選択肢を減らす方法で市場シェアを統合することになる。

 ― これはまた、グーグルがグーグルとヤフーの検索プラットフォーム上の重要な検索条件の価格設定を行い、そのプロセスでヤフーの広告主に課す料金の引き上げを可能にする。その結果生じるあらゆる法的問題に加えて、グーグルに有利な有料検索ビジネスから離れるためにこれを手段として使用しないことを望まない限り、ビジネスの観点からは賢明でないと思われる。

 ― それは、既にグーグルの検索サービスに依存していないその他の検索プロバイダーとの合併のチャンスを除外する。

 従って、委任状争奪戦と株式公開買い付けの場合にこのような取り決めを求める貴社の計画は、私にこのような道をたどらない断固たる決意に導いた。それよりもむしろ私はここでマイクロソフトのヤフー買収提案を正式に撤回する。

 われわれは現在抱えている優秀なチームと潜在的可能性がある他のビジネスパートナーとの戦略的取引を通じて前進し、今後もマイクロソフトのビジネスを刷新し成長させる。

 私は今に至っても依然として、当社の提案は貴社の株主に完全で公平な価値をもたらすために提唱された唯一の代替案であると考えている。当社との合意が成立しなかったため、貴殿と貴社の株主は重要な価値をテーブルの上に置いたままになっている。しかし、取引が行われないことは明らかである。

 本件の検討に時間を割いていただいたことに再度感謝する。

敬具

 スティーブン・A・バルマー
 マイクロソフト最高経営責任者(CEO)
 ▽マイクロソフト社について
 マイクロソフト(ナスダック:MSFT)は1975年に創立され、人々と企業の潜在的可能性を最大限発揮させるソフトウエア、サービス、ソリューションの世界的リーダーである。

 このニュースリリースは、証券を売却するという申し出、または証券を購入するという申し出の勧誘、または投票や承認の勧誘に相当するものではない。この資料は、マイクロソフト社とヤフー社の間で合意があった場合にマイクロソフト社が米国証券取引委員会(SEC)に提出する事業内容説明書または委任勧誘状の代替ではなく、また、提案されている取引に関して、マイクロソフト社がSECに提出し、ヤフー社の株主に送付するその他のいかなる文書の代替でもない。ヤフー社の投資家および証券保有者は、SECに提出されたそのような文書が公開された場合、注意深く全体に目を通すことを強く推奨する。そのような文書には、提案されている取引に関して、重要な情報が記載されている。

 投資家および証券保有者は、マイクロソフト社がSECに提出したすべての文書を、SECのウェブサイト(www.sec.gov)から無料で入手することができる。そのような文書の無料コピーは、マイクロソフト社の投資家関係部門(Investor Relations Department)に直接請求して入手することも可能(住所:Microsoft Corporation, One Microsoft Way, Redmond, Washington 98052-6399)。

 マイクロソフト社とその取締役ならびに役員、およびその他の個人は、提案されている取引に関する委任状の勧誘の参加者と見なされる。マイクロソフト社の取締役ならびに役員に関する情報は、2007年8月3日にSECに提出された、2007年6月30日年度末の年次報告書(Form 10-K)より入手可能。また、2007年9月21日にSECに提出された2007年度株主総会の委任勧誘状でも入手できる。委任状の勧誘の参加者に関する情報、および参加者の保有証券あるいは別の方法による直接的または間接的な利害に関するその他の情報は、提案されている取引に関して提出されるすべての委任勧誘状に記載される予定。

 このニュースリリースに含まれるすべての情報は2008年5月3日現在のものであり、マイクロソフト社は実際の結果あるいは同社予想の変更に記述を一致させるため「将来予測の記述」を更新することに責務を負わない。

(共同通信PRワイヤー)


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