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三菱重工とアレバが原子燃料分野で協調 共同事業へ

 三菱重工業とAREVA Groupは11日、両社の協調関係を現在進めている新規原子力発電プラントの開発にとどまらず、新たに原子燃料ビジネスにまで広げていくことで合意した。

 三菱重工の佃和夫会長および大宮英明社長が同日、来日中のアンヌ・ローベルジョンAREVA会長と東京都内で会談し合意したもので、席上、佃会長とローベルジョン会長が覚書(MOU)に署名した。

 原子燃料ビジネスの対象となるのは、混合酸化物燃料(MOX)を含む加圧水型原子炉(PWR)、沸騰水型原子炉(BWR)、高温ガス炉向けの各原子燃料で、両社は、2008年末までを目処に共同で取り組む新たな事業の枠組みを構築するため、検討を開始することで一致した。

 原子燃料ビジネスは当面、日本市場を対象とする。また、今回の合意により、三菱重工がAREVAの米国原子燃料施設に出資することについても協議していくこととなった。
 AREVAは、原子力に関する全ての事業領域をカバーする世界最大の原子力企業集団。ウラン採掘からウラン濃縮、原子燃料製造、再処理までの原子燃料サイクル全般を手掛け、世界市場でPWR、BWR両炉などに向け原子燃料を供給している。本社をパリに構え、世界40ヵ国に生産拠点と100を超える販売網を持つ。従業員数は約6万人。

 三菱重工は、原動機、原子力、航空宇宙などを主力とする重工業の世界的企業。このうち、原子力分野においては、PWRプラントの設計・製造と、原子燃料の設計・製造を手掛け、日本のPWR向けに原子燃料を供給している。

 三菱重工とAREVAの両社は今回のトップ会談で、現在共同で開発中の110万kW原子力発電プラントATMEA1の設計が2009年末完了を目指して順調に進捗しており、今後、規制当局など第三者による設計レビューを受ける予定であること、また、両社が共同でフランスに設立した新会社ATMEAにより、同プラントの営業活動がすでに開始されたことを確認した。
 さらに両社は、フィンランドのオルキルオト3号機向け欧州加圧水型原子力発電プラント(EPR)で開始された新設プラント機器製造分野での協業を拡大することにより、南アフリカ向けにAREVAが応札しているEPR 2基についても協力し合っていくことで合意した。

 AREVAのローベルジョン会長は、「両社の良好で効率的な関係は、長年にわたり築かれ、ATMEA1を共同で設計することで強化された。我々の関係を次の段階に発展させるために、原子燃料分野での協調に踏み込むのは、非常に自然な成り行きだと考える。私は、今後両社の成熟した技術力と卓越したノウハウにより、原子燃料分野でも目覚しい成果が得られることを確信している」と述べた。

 三菱重工の大宮社長は、「三菱重工は国内に建設したPWR 23基に原子燃料を供給しているが、共同事業では新たにAREVAのBWR原子燃料技術を導入することにより、PWRプラントに加えBWRプラントへの原子燃料供給も目指す。また両社が力を合わせることで、高品質の原子燃料を顧客に供給し、ひいては原子力ルネッサンスの動きを後押しできる」と発言した。


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