現在位置: HOME > ニュース&コラム > ビジネス・産業 > 資源・鉄鋼


新日鐵住金ステンレス、高強度二相鋼「NSSC2120」開発

 新日鐵住金ステンレス(東京都千代田区。木下洋社長)は19日、従来のSUS304代替タイプの二相ステンレス鋼の課題であった溶接性を著しく改善し、大入熱溶接が可能な二相鋼「NSSC2120」(21Cr-2Ni-N)を世界で初めて開発したと発表。高強度なNSSC2120は、鋼構造物の薄肉設計により素材調達コストの大幅な削減が可能であり、溶接作業性の改善と併せ、ユーザーの商品競争力のアップが可能―としている。

 新日鐵住金ステンレスでは、二相ステンレス鋼(二相鋼)の需要拡大に対応し、市場ニーズに的確に応えるため、八幡製造所厚板工場にて二相鋼の生産能力増強や製造可能鋼種の拡大、開発を行っている。今回、開発したNSSC2120の主な特徴は、以下の3点。

 <1>従来のSUS304代替タイプの二相鋼は、溶接入熱を制限する必要があり、溶接効率の点で課題があった。NSSC2120は、同社独自の成分設計と製造技術により溶接性を著しく改善しており、大入熱溶接が可能。このため、ユーザーの作業性を大きく改善できる。

 <2>SUS304に比べ約2倍の強度(0.2%耐力)を確保しており、設計板厚の薄肉化により鋼材使用量を大幅に削減(最大50%まで可能、用途により変化)できる。また、SUS304と同等あるいはそれ以下の価格で提供可能。このため、素材調達コストを大幅に削減することができる。

 <3>レアメタルであるニッケルおよびモリブデンの添加量を削減した二相鋼であり、SUS304に比べ省資源性と価格安定性に優れている。

 期待される用途としては、SUS304、S32101(従来のSUS304代替タイプの二相鋼)あるいは普通鋼の代替として、広範囲の用途で使用が可能と考えている。特に、大入熱溶接が可能であることから、▽ケミカルタンカー、海水淡水化装置、製紙設備等の大型構造物、▽貯水、食品、薬品等の各種タンク類や圧力容器、▽溶接H型鋼を含めた土木、建築分野での使用を期待しており、年間1万5000トンの販売を目標としている。

 また、船舶用途での使用に向け、厚中板(熱処理鋼板、TMCP鋼板、クラッド鋼板)について、日本海事協会(NK)から製造方法の承認を取得(平成23年11月)している。


関連記事

powered by weblio


前後の記事



記事バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する