対アジアのクリーン・エネルギー投資増目立つ、ピュー調査報告
【ワシントン12日PRN=共同JBN】非営利NGO組織ピュー・チャリタブル・トラスツ(Pew Charitable Trusts)が12日公表した新しい調査研究によると、世界のクリーン・エネルギーに対する融資および投資は、2011年に前年比6・5%増の2630億ドルに伸びた。アジア・オセアニア地域への投資は10%増の750億ドルに伸び、同地域はクリーン・エネルギー投資に対する2番目に有力な目的地になっている。中国への投資が相対的に前年比変わらなかったことは、インド、日本、インドネシアで大きく伸びたことで相殺され、この3カ国は世界最速で成長するクリーン・エネルギー市場に入っている。
ピューのクリーン・エナジー・プログラム担当部長のフィリス・カッティノ氏は「研究・開発を除くクリーン・エネルギー投資は、マーケットの確実性を生み出す有効な国家政策を基盤にして、2004年以来600%の成長を見た。このような投資増は、クリーン・エネルギー技術のイノベーション、商業化、製造、そして設置を促し、イノベーター、起業家、そして労働者も含めて新しい機会を生み出すことから重要である」とコメントした。
再生可能なテクノロジーについて、太陽光発電への投資は44%増加して1280億ドルとなり、G20諸国における全体的なクリーン・エネルギー投資の半分以上を占めている。過去12カ月で太陽光発電のモジュールのコストが半減するなど、劇的な価格下落がこのような活動に火を注ぐことになった。風力発電のコストもまた2011年に下落した。
昨年、新たにほぼ30ギガワット(GW)の太陽光発電、43ギガワットの風力発電が世界的に展開された。価格の下落と投資の伸びの組み合わせ効果で、クリーン・エネルギーの発電容量は2011年に記録的な83・5ギガワットまでの設置を促し、世界で総合計565ギガワットに達した。これは同年末時点で、世界で設置された原子力発電容量より約50%多いことになる。
ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスのミッシェル・リーブレイシュ最高経営責任者(CEO)は「クリーン・エネルギー部門は2011年末までに1兆ドルの民間投資を受け入れて、過去8年で特に顕著な伸びを示した。太陽光発電の設置は、光電池モジュールの価格下落で昨年の活動の大部分を牽引した。光電池モジュールの価格は現在、3年前と比較して75%下落しており、世界の多くの地域でクリーン・エネルギー支援メカニズムが弱いことを相殺して余りある」と語った。
▽アジア・オセアニア地域の主要な調査結果は以下の通り。
*オーストラリアへのクリーン・エネルギー投資は2011年、11%増加して49億ドルとなった。これら投資の圧倒的多数の82%すなわち40億ドルは太陽光発電部門に向けられた。風力発電部門の投資は大きく落ち込み8億ドルを下回った。オーストラリアは(投資の)年間成長率でG20諸国の13位、5年間の成長率で4位、設置された発電容量の5年間の成長率で9位にランクされる。オーストラリアは現在、設置済みのクリーン・エネルギー容量で5ギガワット余りとなる。
*中国はクリーン・エネルギー投資で455億ドルを受け入れ、G20諸国全体の2位に付けている。中国の風力発電投資は290億ドルで、G20諸国でこれに次ぐ国の投資額の3倍余りとなった。中国は連続2年目に20ギガワットの風力発電を設置して、設置済み風力発電容量は現在64ギガワットを上回る。中国での太陽光発電部門への投資は113億ドル増加して、容量にして2・3ギガワットが2011年に設置され、その多くが公共事業プロジェクトだった。
*インドのクリーン・エネルギー部門は引き続き2011年も開花して、投資額は54%増の102億ドルとなってG20全体の6位にランクされている。インドの「国家太陽光ミッション」プログラムは、2020年までに20ギガワットの太陽光発電の設置を目指し、太陽光発電投資に42億ドルという7倍の飛躍を促した支えとなった。風力発電は46億ドルを受け入れて、年間を通じて2・8ギガワットの容量の設置が付加される。
*インドネシアは2011年にクリーン・エネルギー投資の誘致で520%の成長を記録して、G20諸国で最速の伸び率となる。全体として、10億ドル余りが2011年にインドネシアのクリーン・エネルギー資産に投資された。インドネシアは全体として14位にランクされた。
*日本におけるクリーン・エネルギー投資は、23%伸びて86億ドルに増加した。これは恐らく日本が原子力発電から遠ざかるだろう将来予兆なのかもしれない。日本は全体的な投資でG20の中で8位にランクされている。日本のクリーン・エネルギー投資の94%は、圧倒的に小さな分布容量向けの太陽光発電に向けられた。
ブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンス(Bloomberg New Energy Finance)が編纂したデータを強調した今回の「どの国がクリーン・エネルギー競争の勝者になるか?(Who’s Winning the Clean Energy Race?)」の2011年版調査研究は、どの国が世界の有力経済大国の中で民間投資に対するますます厳しい競争を処理していけるかを検討している。G20諸国の投資は世界の投資総額の95%以上を占めた。投資額は米ドルで表記されている。
リポート全文は国別プロフィール、インタラクティブなグラフィックスを含めて以下のサイトを参照。
http://www.PewTrusts.org/CleanEnergy
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- [国際情報]対アジアのクリーン・エネルギー投資増目立つ、ピュー調査報告 2012/04/15 日曜日