07年世界の原子力発電は3・6%減速 プラッツが専門誌で発表
【ワシントン7日PRN=共同JBN】エネルギーと商品情報の有力な世界的プロバイダー、プラッツ社の原子力専門誌「ニュークレオニクス・ウィーク」が発表したデータによると、原子力発電炉が産み出す世界の電力は、2006年に記録された28億メガワット時(MWh)から2007年には約3・6%減少した。
2007年の全体的な落ち込みの中で、米国の原子炉は原子力発電の新記録を樹立し、総出力8億4300万MWhまで伸びて、原子炉発電能力で平均91%の利用率を示した。
プラッツの世界原子炉担当編集長のマーガレット・ライアン氏は「2007年の原子力発電所パフォーマンスは米国の電力の約20%を占め、他の発電では世界的温暖化に関わるだろう炭酸ガスを放出することなく産出されたことを意味する」と語った。
世界のパフォーマンスは、米国の2基の原子炉によって主導された。出力の観点から見て、米テキサス州ベイシティーにあるサウステキサス・プロジェクトのテキサス1号炉は、世界最大の原子力発電量である1236万MWhを発電した。2007年に発電量が大きかった15基の原子炉のうち、3基は米国、8基はドイツ、4基はフランスからだった。原子炉メーカーが約束した出力レベルに対するプラントの発電実績を計算に入れる能力要因の観点から、世界で最も優秀な原子炉は米メリーランド州アナポリス南部にあるコンステレーション・エナジー社のカルバート・クリフス1号炉であり、年間を通じて定格能力レベルを事実上超えた。2007年の最も優秀な発電実績を示したトップ15原子炉は、11基が米国、4基が日本だった。
世界の原子力発電のスローダウンは、日本における地震の影響から英国で進む施設の老朽化、ドイツにおける予期せぬ故障の影響までが、この事態への主たる影響要因であった。そのほかの国では、原子力発電は良好なパフォーマンスを維持するか僅かな下落にとどまった。
世界の原子力発電所の発電能力の観点で、平均的な利用率は84・2%であり、上から4分の1までの発電所のそれは91・5%を上回った。このことは多くの原子炉が2007年中良好な実績を上げたことを示している。しかし、名目上395ギガワットの総稼働能力を持つ世界の439の原子力施設は、ますます強まる世界の電力需要に対応するため、平均85%の発電能力要因で運転されたとすれば、2007年に実際より約4億MWh余りを多く発電していたはずだ。この発電量は平均40日分の世界の他のどの国より多くの電力を使う全米への供給量となる。
▽展望
2007年は、2006年の最終日に7つの発電所が閉鎖されていたことで、原子力発電にとって不運な始まりだった。ブルガリアのコズロドゥイ3号炉、4号炉、スロバキアのボフニチェ1号炉、英国のダンジネスA-1炉、A-2炉、サイズウェルA-1炉、A-2炉の閉鎖によって、配電網から総量2640MWが失われた。
2007年には僅かに4基の原子炉が世界に追加されただけで、それはインド原子力開発公社所有の220MWカイガ3号炉が稼働し、中国では1000MWのロシア型加圧水型原子炉(VVER)田湾2号が立ち上がり、ルーマニアには706MWカナダ型重水炉(Candu)チェルナボーダ2号機が引き渡された。米国では、テネシーバレーオーソリティー(TVA)が、1155MWブラウンズフェリー1号機を22年間の閉鎖後にサービス再開に持ち込んだ。それによって総MWは3100MWに僅か下回る発電量が付加された。
2007年はしかし、5カ所の発電施設が正式に建設を始めて、この数年では最も多くの原子力発電炉の建設が開始された。中国の650MWの秦山2期-4号炉と1000MWの紅沿河1号炉、韓国の1000MWシンコリ2号炉と同シンウォルソン1号炉、フランスの650MWフラマンビーユ3号炉の建設がすべて開始された。国際原子力機関(IEA)の記録によると、2006年には4の施設、2005年は3施設、2004年は2施設の建設が始まっている。
▽プラッツ(Platts)について
プラッツはマグローヒル・カンパニーズ(NYSE:MHP)の1部門で、エネルギー、商品情報の有力な世界的プロバイダーである。1世紀近い事業経験を持ち、150カ国以上で顧客に奉仕している。世界各地の14事務所から石油、天然ガス、電気、原子力発電、石炭、石油化学、排出物、金属市場に奉仕している。プラッツのリアルタイムのニュース、価格、分析サービス、会議は透明性と効率性で市場の運営を助けている。トレーダー、リスクマネジャー、アナリスト、業界リーダーはよりよい取引、投資の決定を行う助けをプラッツに頼っている。詳しい情報はhttp://www.platts.comへ。
▽マグローヒル・カンパニーズ(The McGraw-Hill Companies)について
創立は1888年。マグローヒル・カンパニーズ(NYSE:MHP)は有力な世界的情報サービス・プロバイダーで、スタンダード&プアーズ、マグローヒル・エデュケーション、ビジネスウィーク、J・D・パワー・アンド・アソシエーツなどの有力ブランドを通じて、金融サービス、教育、ビジネス情報市場で世界的なニーズを満たしている。同社の事務所は40カ国に280以上。2007年の売上高は68億ドル。詳しい情報はhttp://www.mcgraw-hill.comへ。
(共同通信PRワイヤー)
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- [電力・発電]07年世界の原子力発電は3・6%減速 プラッツが専門誌で発表 2008/03/07 金曜日