クリーンエネルギー投資が30%増、10年で6倍増の注目分野
【ワシントン29日PRN=共同JBN】非営利NGO組織ピュー・チャリタブル・トラスツ(Pew Charitable Trusts)が29日公表した新しい研究によると、世界のクリーンエネルギーに対する融資および投資は2010年に前年比30%増の2430億ドルと大きく伸びた。中国、ドイツ、イタリア、インドは民間投資を最も成功裏に呼び込んだ国に入る。
中国は世界のクリーンエネルギー大国としての地位を固め続けている。中国が2010年に記録的な544億ドルを投資したことは、2009年から39%増加したことを示している。ドイツは412億ドルと100%増の投資を行ってG20の中で昨年の3位から2位に上がった。
ピューのクリーンエナジー・プログラム担当部長のフィリス・カッティノ氏は「クリーンエネルギー部門は世界で最もダイナミックかつ競争力のある分野の一つになっており、2004年以来融資と投資が630%成長している。中国、ドイツ、インドなどの諸国は再生可能なエネルギー基準、カーボン削減目標あるいは投資優遇策やクリーンエネルギー生産を支援する国家政策を持ち、投資家に対する長期的な確実性を生み出して投資家を引きつけている」と語った。
2008年まで首位を維持してきた米国は、2010年には投資額が340億ドルとなってさらにランク落ちして3位になった。英国はG20の中で最大の落ち込みで第5位から13位となった。同リポートは、これら諸国のクリーンエネルギー政策に関わる不確実性によって、投資家がほかの投資チャンスを探す要因になっていると示唆している。
イタリアは昨年139億ドルのクリーンエネルギー向け融資を呼び込んで、2009年の8位から4位へとその世界的立場を改善した。イタリアは太陽エネルギーのグリッド・パリティ(発電コストが既存の系統電力の価格と同等になること)もしくはコスト競争力を達成した初の国となった。インドは初めて、25%増の40億ドルを引きつけてトップ10の仲間入りを果たした。
風力は投資家にとって依然として有利なテクノロジーであり、その投資額は950億ドルだった。しかし太陽エネルギー部門は2010年に大きな伸びを示し、53%増の記録的な790億ドルの投資を受けて、世界で新たに17ギガワットの以上の発電容量を生みだした。ドイツは世界の太陽エネルギー投資額の45%を占めた。
ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスのミッシェル・リーブレイシュ最高経営責任者(CEO)は「世界的傾向を見ると、太陽エネルギー部門は小規模の居住者用プロジェクトに牽引されて、各種テクノロジーの中で最も大きく成長した。価格低下と重要な政府支援があって、太陽エネルギー部門は2010年のクリーンエネルギー投資総額の40%以上を実現するのに貢献した」と語った。
ピューの調査パートナーであるブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスが集めた基本データに基づくこのリポート「クリーンエネルギー開発競争の勝者は?」2010年版は、集合的に20カ国・地域(G20)として知られる世界主要経済国の中で、各国が民間投資に対する厳しい競争の高まりにどのように対処しているか調査している。G20諸国の投資は世界の総投資額の90%以上を占めていた。
リポートのその他主要な調査結果は以下の通り。
▽地域的に欧州は代表的な投資受け入れ先となり、ドイツ(412億ドル)、イタリア(139億ドル)をはじめ944億ドルを引きつけた。
▽アジア/オセアニア地域は中国を先頭にして大きな伸びを示して、前年の33%増となる828億ドルを呼び込んだ。
▽米州もまた投資額は35%増を示したが、総額は658億ドルと離れた3位にとどまった。
▽小規模の住宅用太陽エネルギーへの投資は、G20で100%増の564億ドルに伸びた。ドイツ総投資額のほぼ半額を占め、次いで日本、フランス、イタリア、米国の順だった。
▽(発電装置の)導入発電容量は、風力、小型水力、バイオマス、太陽光、地熱、海洋によって388ギガワットに増加した。中国は世界の総容量の25%余りを占めている。
▽研究・開発資金(350億ドル)を除き、投資総額は1980億ドルとなった。
▽G20諸国では、民間投資の大部分は資産投資であり、15%増の1180億ドルを占めた。
▽企業が資金調達を拡大するため公募増資を実施したため、公設市場投資は27%増の159億ドルとなった。
▽クリーンエネルギーに対するベンチャーキャピタル/プライベートエクイティー投資は26%増の81億ドルとなった。米国はG20総額の3分の2相当の60億ドルで先行した。
関係国プロファイルを含むリポート全文、双方向グラフィックス、ビデオの閲覧は以下のサイトを参照。http://www.PewEnvironment.org/CleanEnergy
ブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンスは、クリーンエネルギーおよびカーボン市場の融資・投資に関するニュース、データ、解析で世界をリードするプロバイダーである。詳細は http://www.BNEF.com を参照。
ピュー・チャリタブル・トラスツは、ナレッジの力に牽引されて今日の最も困難な諸問題を解決する。ピューは意欲的な解析手法を適用して公共政策を強化し、国民に伝達し、市民生活を鼓舞する。詳しい情報は http://www.pewtrusts.org を参照。
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- [電力・発電]クリーンエネルギー投資が30%増、10年で6倍増の注目分野 2011/03/31 木曜日