2010年は増収増益、スピリット社決算
【ウィチタ(米カンザス州)10日PRN=共同JBN】スピリット・エアロシステムズ・ホールディングス社(Sprit AeroSystems Holdings, Inc.、NYSE:SPR)は10日、2010年第4四半期と通年の決算を発表した。決算は、大型商用航空機への大きな需要を反映して、全社的に中核事業の堅調な業務実績を反映している。
スピリットの第4四半期売上高は、前年同期の10億7800万ドルから若干下がり10億7100万ドルだった。これは大型商用機の納入が前年同期より減ったが非生産売上で相殺された結果である。営業利益は9600万ドルで、前年同期は8500万ドル。第4四半期の純益は6200万ドルで、完全希釈後1株あたり利益は0・44ドルとなった。2009年同期は5000万ドル、完全希釈後1株あたり利益は0・36ドルだった。
表1.決算概要
(単位:1株当たりデータを除き100万ドル)
第4四半期 12カ月
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2010 2009 変化 2010 2009 変化
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売上高 $1,071 $1,078 ~0% $4,172 $4,079 2%
営業利益 $96 $85 13% $357 $303 18%
営業利益率 9.0% 7.9% 110 BPS 8.6% 7.4% 120 BPS
純利益 $62 $50 24% $219 $192 14%
純利益率 5.8% 4.6% 120 BPS 5.2% 4.7% 50 BPS
1株利益
(完全希釈後) $0.44 $0.36 22% $1.55 $1.37 13%
完全希釈後
平均株式数 141.8 140.2 141.0 139.8
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第4四半期税引き前利益は、約300万ドルで1株あたり0・02ドル減少した。これは全米自動車・航空宇宙・農業機器労働組合(UAW)との新10年協約の一環として該当する労働組合員への報酬株式に関連している。
通年の売上高は41億7200万ドル。通年の営業利益は、前年に比べ18%増の3億5700万ドル増加した。通年の純利益は、前年に比べて14%増の2億1900万ドル、完全希釈後1株あたり1・55ドルとなった。2009年は1億9200万ドル、同1・37ドルだった。
ジェフ・ターナー社長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれは中核計画を順調に遂行し、2010年の開発計画を前進させた。スピリットの事業推進力は引き続き改善しており、世界的な大型商用機へ需要は依然として大きく、新製品が市場に投入されている」と語り、さらに次のように述べた。
「われわれは第4四半期に240以上の中核製品を顧客に納入したほか、顧客に最初のCH-53Kヘリコプターの複合材胴体を納入した。またわれわれは、オクラホマでUAWと新10年協約の合意に達し、ボーイング社との787機計画への道筋を確立した」
「将来に目を向けると、スピリットは中核製品数が増加し、開発計画が成熟しているため、財政的に強力で競争上強固な立場にある。スピリットの将来を支える大きな受注残高があり、われわれは中核事業の生産量を拡大する計画を実行中である。こうした成長の見通しと業績への尽力によって、長期的価値を促進する立場にある」
2010年第4四半期末現在のスピリットの受注残高は283億ドルだった。スピリットは、エアバスとボーイングからの発表済み確定注文と他の顧客からの確定注文とを会わせた製品と数量に対する契約価格に基づいて受注残高を算出している
スピリットは2010年第4四半期中に契約の収益性予測を更新し、税引き前1000万ドル(1株あたり0・05ドル)のマイナス累積遡及調整を行った。これは主として787計画に関する収益性予測の変化によるものである。スピリットは2009年第4四半期に3400万ドルのマイナス累積遡及調整を行っている。
2010年第4四半期の営業活動キャッシュフローは3億6400万ドル、前年同期は1億9700万ドルだった。当期を2009年同期と比較すると、比較的安定した稼働資本を反映しており、一方で業績は、経常および繰延租税効果によって部分的に相殺される繰延歳入が増加した結果となっている。
表2.キャッシュフローと流動性
第4四半期 12カ月
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(単位100万ドル) 2010 2009 2010 2009
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営業活動キャッシュフロー $364 $197 $125 ($14)
不動産・工場・機材購入 ($105) ($70) ($288) ($228)
流動性 10年 09年
12月31日 12月31日
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現金 $482 $369
債務総額 $1,197 $894
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年度末キャッシュバランスは4億8200万ドルで、前年から1億1300万ドル増加した。これは主として、2010年11月に3億ドルの無担保優先債券の発行および新規計画への投資継続で部分的に相殺された開発計画に関連した一時的契約支払いの受領から生じた収益を反映している。2010年第4四半期末時点で、スピリットの6億5000万ドルの回転信用枠は未使用のままだった。約1900万ドルの信用枠は信用状のため留保されている。第4四半期末時点の負債総額は、11億9700万ドルで2009年末から3億300万ドル増加した。これは主として2010年第4四半期に発行した無担保債券に関連する債務を反映している。
第4四半期の同社の信用格付けは、スタンダート&プアーズがBB、ムーディーズがBa2と変わっていない。
▽財務展望
2011年通年のスピリットの売上高予測は、45億ドルから47億ドルの間になると予測される。これは485-500機の2011年ボーイング機納入ガイダンス、B787納入の予測、約520-530機の2011年エアバス納入および非OEM生産活動と他の顧客に対するスピリット社内予測、2010年後半と同等の外貨レートに基づいている。
2011年の完全希釈化1株利益は1・70ドルから1・90ドルになると予測されており、中核計画における成長継続と新規計画を当初生産に移行させることを反映している。
資本支出減での営業キャッシュフローは、資本支出を約3億2500万ドルとして、総体として約2億5000万ドルとなる見込み。
2011年の実効税率は31%から32%と予測される。(表3)
財務ガイダンスに対する主なリスクには、以下が含まれる。787機の納入機数、予測を上回る当社開発計画に関する一時的および再発性のコスト、中距離ビジネスジェット市場のリスク、期待される生産性とコスト削減達成への能力、787機契約修正の完了見込み-など。
表3 財務展望
2010年実績 2011年ガイダンス
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売上高 $42億ドル $45-47億ドル
1株利益
(完全希釈化) $1.55 $1.70 - $1.90
実効税率 26.3% 31% - 32%
営業キャッシュフロー $125(百万ドル) ~ $75(百万ドル)
資本支出 $288(百万ドル) ~ $325(百万ドル)
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付属文書
▽セグメント別業績
*胴体システム
2010年第4四半期の胴体システム・セグメントの売上高は、主に追加の非生産売上が影響して、2・6%増の5億2910万ドルだった。2010年第4四半期の営業利益率は前年同期の11・5%に対し13・1%だった。2010年第4四半期中、同セグメントは税引き前200万ドルのマイナスの累積遡及調整を計上した。これに対し前年同期では、税引き前2100万ドルのマイナスの累積遡及調整を計上した。
*推進システム
2010年第4四半期の推進システム・セグメント売上高は、主に非生産売上と製品混合の追加を反映して、前年同期比1・9%増の2億6280万ドルだった。第4四半期の売上高営業利益率は製品混合のプラスの影響を受け、2009年第4四半期の9・8%から15・2%に増加した。2010年第4四半期の期間、同セグメントは税引き前500万ドルのマイナス累積遡及調整を計上した。これに対し、同セグメントは2009年第4四半期の期間中にアフターマーケット販売の減少と税引き前800万ドルのマイナス累積遡及調整とを計上した
*ウィング・システム
2010年第4四半期のウィング・システム・セグメント売上高は、前期で追加の非生産売上を含めたことが影響して、前年同期比7・6%減の2億8770万ドルだった。2010年第4四半期の売上高営業利益率は9・7%だった。前年同期は10・7%。2010年第4四半期で同セグメントは税引き前400万ドルのマイナス累積遡及調整を計上した。これに対し2009年第4四半期では、同セグメントは税引き前500万ドルのマイナス累積遡及調整を計上した。
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- [航空・宇宙]2010年は増収増益、スピリット社決算 2011/02/14 月曜日