アルストム、中国で水力発電機製造工場を新設
【天津(中国)5日PRN=共同JBN】アルストム社(Alstom)は5日、中国天津の新水力発電機製造施設を開所した。新工場は中国ならびに世界の顧客に対する供給面でアルストムの立場を強化するもので、同時に現在中国発電量の22%を占め、1年に15ギガワットの割合で拡大する同国の巨大水力発電市場でさらに拡大する機会を提供するものだ。マルチメディアによる関連資料はウェブサイト(http://multivu.prnewswire.com/mnr/alstom/47004/)を参照。
同工場の社名はアルストム水力発電中国社(Alstom Hydro China Co. Ltd 、AHC)で、現在アルストムが中国に所有する工場、天津アルストム水力発電社(Tianjin Alstom Hydro、TAH)に取って代わることになる。建設は主に2つのフェーズに分けて行われており、第1フェーズ分はすでに運用されている。同社は工場の製造量を徐々に移行させるため、第2フェーズが完全に完成するまで現在の天津工場の操業を続ける予定。
新しいアルストム工場は1億1千万ユーロを少し下る10億元の投資をかけて建設されるもので、アルストム社にとっては中国で最初のカーボン・ニュートラルな製造工場になる。同工場はエネルギー効率の良い設計になっており、二重絶縁、熱回収システム、エネルギー消費量を43%削減した地熱冷暖房システム、雨水再利用、および工場全体の暖房、冷房、照明、換気に電力を供給する光起電力パネルなどが使われている。さらに自然光を徹底的に利用するために天窓が据え付けられている。
中国政府はCO2排出量を2010年までに20%程度削減する誓約に続き、2020年までにGDP単位当りのCO2排出量を2005年の水準の40から45%程度削減することにコミットしており、そのためビルのエネルギー効率を上げることを最重要政策目標にしている。
新工場は約25万平方メートルの敷地面積を持ち、旧工場の2割増しになる年間30基のタービン発電機製造能力を持つことになるが、これらは1基当たり20メガワットから1000メガワットの発電能力を持つ。
アルストム社副社長兼アルストム・パワー社社長のフィリップ・ジュベール氏は「AHC社は当社がアジア地域の需要に応え、受注残をこなすための立場を強化するもので、設計も環境に優しいものになっている。新工場は天津空港の近くの天津空港経済区(TAEZ、注1)に立地されており、将来の拡張用に多くのスペースがある」と述べた。
新工場にはアルストム社が研究開発や顧客向けに開発されたタービンの試験をするための「グローバル・テクノロジー・センター」が併設される。「グローバル・テクノロジー・センター」としては2008年のフランスのグルノーブル、インドのワドダラに続く3つ目になる。
アルストムは中国最大の水力発電メーカーの1社で、今日までに同国で43ギガワット分の水力タービン発電機の契約を獲得しており、そのうち、約28ギガワット分がすでに商用に運用されている。
11月4日にはアルストム社は江西省の峡江水力発電計画に対して40メガワット級発電機5基を納入する5千万ユーロの契約を獲得したと発表した。
▽アルストム社について
アルストムは発電、送電、鉄道インフラの分野で世界をリードする企業で、同社は技術革新、環境に優しい技術の基準になっている。同社は世界最速の鉄道、最大乗客収容数を誇る無人地下鉄を製作するメーカーで、水力、原子力、ガス、石炭、風力など広範囲のエネルギー分野の発電所向けの統合的ターンキー・ソリューションならびに関連サービスを提供し、さらにスマートグリッドに焦点を当てた送電ソリューションも広範に提供している。アルストム・グループ全体では世界70カ国以上で96,500人を雇用し、2009/10年度では売り上げは230億ユーロ(見積もりベース)を越える。
(注1)天津空港経済区(Tianjin Airport Economic Zone)
詳しい情報はウェブサイト(www.alstom.com、www.alstom.com/power)を参照。
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- [国際情報]アルストム、中国で水力発電機製造工場を新設 2010/11/05 金曜日