景気後退時の消費者にひとときの高級志向=ニューロフォーカス
【バークレー(米カリフォルニア州)6日PRN=共同JBN】景気が後退すると、脳は救いを求める。世界大手ニューロマーケティング企業であるニューロフォーカス社はそれを「ひとときの高級感」と解釈する。このような所見は、ニューロフォーカスが開発した新しい「高級感に関する知覚フレームワーク(Luxury Perceptual Framework)」の中核である。
ニューロフォーカスの創業者兼最高経営責任者(CEO)のA・K・プラディープ博士は「ニュースキャスター、ダイアン・ソウヤーとのABCワールドニュース」で放送されたインタビューで、このような「ひととき」は潜在意識の中にある有意義なマーカーであると表現した。同社は調査研究から高級感に関する知覚フレームワーク(LPF)という言葉を生み出し、世界中の数多くの部門のクライアント向けブランド、製品、包装、店内マーケティング、広告に対する消費者の予知反応にあるこのような現象を発見した。
高級感に関する知覚フレームワークの発表に当たってプラディープ博士は「この現象は人々に共通するもので、同様に多くのビジネス分野でその影響を目撃する。人間の脳は日常生活の中のほんの僅かな喜びや満足に価値を認め、求める。景気後退の時期には、高級感を求めるそのような潜在意識が満たされるよう活発に働き、われわれの潜在的にぜいたくを追求する戦略が変化する。われわれはストレスの多い日常生活の中で報われる何かを体験することを通じて、それを感じることができる『ひとときの高級感』により大きな価値を置く。高級感に関する知覚フレームワークはまさに世界的現象であり、地理的差異なく、文化的/倫理的/人種的違いや社会水準の差なく機能する」と語った。
高級感に関する知覚フレームワーク(LPF)の8つの側面は以下の通り。
側面1:それ以上の(MORE)-ぜいたくと関連する潜在意識の要因で、「必要とするもの」の意識と通常は見なされる以上のものを提供すること。
側面2:多様(VARIETY)-「自己表現」可能のものから選択することができる多様な特徴と実体を提供すること。このような多様性は高級感の表れとして潜在意識で感じ取られる。
側面3:目的(PURPOSE)-社会的に評価される要因-高い目的につながる-は、上品な感覚という高級感を提供する。
側面4:希少かつ独自(RARE and UNIQUE)-「唯一無二」を所有すること、あるいはわずかしかないものを選んで自分が所有できること、さらにはファーストフード・レストランで安くても限定販売品を購買する経験は、そのようなものを所有したという満足感に寄与する潜在意識を生む出す。
側面5:時間と労働(TIME and LABOR)-「手作り」の報償すなわちそれがビールであれ、家具、ロールスロイスであれ、誰かが手作業で働いて何かを作り出したという精神的概念は、ぜいたくという潜在意識上の感覚を呼び覚ます。
側面6:自分自身(ME)-個人的知覚は潜在意識の中の高級感を象徴する。もしそれを自分のためにカスタマイズすれば、脳はそれに高級感という評価を付加する。
側面7:ケアとディテール(CARE and DETAILS)-ほんの小さなことに注意を払うことは、高級感に直接つながる潜在意識の中に重要な反応を起こす引き金となる。小さなことだが意味のある微妙な差異もしくは特別のステップに関心を持つことはケアと解釈され、そのような感覚は間違いなく高級感となる。
側面8:美学(AESTHETICS)-より高度の美学的価値は自動的に高級感と等しくなる。潜在意識に現れる典型的な美学的資質は、シンプル、ハーモニー、均整、整理された環境が含まれる。これに関連して言えば、脳にとっては過ぎたるは及ばざるがごとし。
プラディープ博士は景気後退時期における高級感に関する知覚フレームワーク(LPF)の力を指摘して、iPad(アイパッド)、iPhone(アイフォーン)などアップル社製品の発売成功を引用した。アップル製品に対する需用は、その製品デザインにおいてLPFの多くの側面に対するアップル社の直感的アプリケーションだけでなく、そのメモリー保存環境、パッケージング、広告、顧客サービスを反映している。同博士は「人間の脳はアップルに対して、関心、感情のかかわり、メモリー保存などある種の最高の贈り物との評価を与えた。従ってアップルが民生用テクノロジーの世界リーダーとなったのは不思議なことではない」と語った。
プラディープ博士は、高級感に関する知覚フレームワーク(LPF)側面のいくつかを活かすブランドは、消費者が製品、パッケージあるいはサービスと高級感に関連する潜在意識との間を結び付ける刺激となったと説明した。同博士は「特に困難な経済環境にあっては、誰にも共通することだが深く潜在的に高級感を望む気持ちを満たす術を探求する有能なマーケティング担当者は、購入意欲とブランドに対する信頼の意味で大いに報いられる傾向にある。われわれは日常生活の中でこのような潜在意識上の反応などを把握し、評価する調査研究にそれを見いだしている。LPFはまた、消費者が最高のサービス水準にどのように反応するかを理解する画期的な道筋を提供するが、同様に当社のブランド・エッセンス・フレームワーク(Brand Essence Framework)は潜在意識の水準でブランドの中核となる特質を把握する。LPFはブランド間の競争に勝ち抜くゲームプランとなり得るかも知れない。そして、ニューロフォーカスが発見した『ひとときの高級感』を通じてでも、満足感に対するわれわれの一貫した探求を活用するこれらブランドが市場で優位に立つことができる」と語った。
ニューロフォーカスは消費者の潜在意識反応に関する脳波検査に基づく完全な脳測定を実施する世界リーダーである。同社顧客はいくつかの世界最大手企業が含まれ、その基準データベースはほかのすべてのニューロマーケティング企業よりはるかに規模と範囲で勝っている。
ニューロマーケティングに関するプラディープ博士の著書「バイイング・ブレイン(The Buying Brain)」は今夏出版される。同博士はその中で消費者の潜在意識反応に深く踏み込んだ同社の画期的な研究に基づき、これまで発表されたことのない多くのフレームワークと行動計画を提案する。マーケティング担当者はこれらのガイドラインに従って、人間の脳に最も強力かつ効果的に訴えるブランド、製品、パッケージング、インストア・マーケティング資料と環境、広告を生み出すことができる。
▽ニューロフォーカス(NeuroFocus)について
ニューロフォーカス(http: //neurofocus.com)はニューロマーケティングの世界大手企業であり、最先端神経科学のナレッジと専門知識をブランドづくり、製品開発、パッケージ、インストア・マーケティング、広告、エンターテインメントの世界に持ち込む。ニューロフォーカスの顧客には、自動車、消費者用パッケージ商品、食品・飲料、金融サービス、インターネット、医薬品、小売りなどを含む数多くの分野のフォーチュン100社企業が含まれている。エンターテインメント分野の顧客には放送、ケーブルテレビ、動画業界の大手企業が含まれている。
ニューロフォーカスは米国に本社を置き、英国、欧州、アジア太平洋地域、中南米、中近東にあるオフィスとニューロラボを通じて営業している。同社はカリフォルニア大学バークレー校、MIT、ハーバード、オックスフォード、コロンビア大学、その他の大手機関の神経科学、マーケティング分野のノーベル賞受賞者クラスと博士レベルの学位保有者を企業経営、コンサルティング経験と組み合わせて活用している。ニールセン社はニューロフォーカスに対する戦略的な出資者である。
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- [国際情報]景気後退時の消費者にひとときの高級志向=ニューロフォーカス 2010/07/07 水曜日