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半導体実装関連市場は2020年に大幅拡大、部品内蔵基板は49倍に

 富士キメラ総研は9日、世界の半導体実装関連市場の調査結果を発表した。それによると、2020年のプリント配線版市場は現在の1.4倍となる5兆9000億円に、部品内蔵基板市場は同比49倍の1265億円、半導体・プリント配線板・LED実装関連材料市場は同比1.5倍の5兆3000億円、TV向けLED実装放熱基板材料市場は同比9.3倍の756億円に拡大すると予測した。調査概要は次の通り抜粋する。

<富士キメラ総研調査>
 実装関連市場は、2009年は不況の影響を強く受け、省エネブームで市場が拡大したLED実装関連を除き大幅に減少した。2010年は、景気の持ち直しと共に比較的堅調な動きとなっており、2011年には2008年を上回ると推測される。長期的には、新興国を中心とするデジタルAV機器や白物家電の新規需要、先進国でのリプレイス需要により拡大していくと推測される。半導体関連製品ではBGA(ball grid array:ICチップの表面実装タイプのパッケージ方法の一種で、平面の樹脂のパッケージから小さいボール状の電極が並んでいるタイプ)関連製品の拡大が大きく、プリント配線板では全層ビルドアップ基板や部品内蔵基板といった製造難易度の高い製品の拡大幅が大きくなると予測される。LED実装関連は長期的に大幅な拡大を示すと予測され、その中でもLEDテレビ(LEDをバックライトに使用したテレビ)向け部材の拡大が大きい。テレビ向けLED実装放熱基板材料であるCEM-3(コンポジット基材銅張積層板)やアルミベース基板は、採用するアプリケーションが少なかったことから市場は停滞していたが、LEDテレビという新規アプリケーションの台頭を背景に、急激に市場が拡大している。

◆注目材料:TV向けLED実装放熱基板材料市場
2010年見込 81億円  2020年予測 756億円(10年の9.3倍)
 LEDテレビに使用されるLEDパッケージを実装する基板である。LEDは放熱量が多いことから、高い放熱生を有した基板が求められる。LEDテレビ市場が2010年より本格化しており、2015年にはミドルクラス以上の液晶テレビの70%以上が、2020年にはほぼ100%がLEDバックライトになるとみられることから、この市場も拡大し2020年には2010年の9.3倍となる756億円が予測される。

■半導体関連製品市場
 世界的な需要の落ち込みを受けてエレクトロニクス業界の成長は大きく停滞した。特に先進国における需要減が著しく、2009年の半導体市場は大きく落ち込んだ。一方、BRICsをはじめとした新興地域では、先進国の景気悪化の影響を受けたものの市場は成長した。
 2009年の後半より先進国でも徐々に市況が持ち直し、半導体需要も回復に向かっている。落ち込みが大きかったメモリも稼働率がアップし、2010年に入りこの傾向は加速しており、これまでとは一転し好況が訪れている。メモリに関しては、一部のメーカーではフル稼働でも供給が追いつかない状況となっている。
 2010年は、2009年のような半導体業界の再編(破綻、撤退、合併)劇はあまりなく、やや落ち着きを取り戻している。ただし、今後は効率的な運営を図るため、外部リソースを使用するファブレス化が進んでいくとみられる。QualcommやNVIDIAなどファブレス企業として成功している企業が増加している。また、後工程についてもIDM(integrated device manufacturer:自社内で回路設計から製造工場、販売までの全ての設備を持つ垂直統合型のデバイスメーカー)による組立は一部のハイエンドパッケージに限られ、サブコン(外注先)への委託比率が更に上昇していくと考えられる。大手サブコンは豊富な資金力を活かし、大規模な設備投資を進めており、高機能のパッケージの大量生産・低コスト体制を更に強化している。
 今後の半導体市場を牽引するアプリケーションとして、従来の軽薄短小・民生機器という製品に加え、環境対応自動車、エネルギー関連、照明機器などのエコ関連分野における需要が期待される。

■プリント配線板市場
●リジットプリント配線板
 2009年は、数量ベースで前年比15.4%減の2億220万m2、金額ベースで同25.0%減の2兆3,854億円となった。金融危機の影響と、それに伴う2008年からの在庫調整の影響を受けて全般的に市場は大幅に減少している。特に多層板ではテレビやパソコンが好調であるにもかかわらず通信インフラ等に多く使用される高多層基板が投資抑制から金額ベースで減少したことが響いている。2010年は全般的に拡大しているものの金額ベースの規模が大きい高多層基板で先進国向けの通信インフラ用が低調なため、2008年の水準には戻らない見通しである。長期的には、片面板は白物家電の新興国向け需要拡大により、両面板、多層板はデジタル家電の新興国需要の拡大や先進国でのリプレイス需要により、拡大していくと予測される。

●ビルドアッププリント配線板
 2010年は、数量ベースで前年比7.1%増の1,560万m2、金額ベースで同6.8%増の7,054億円になる見通しである。2009年と比較すると携帯電話やデジタルカメラなど従来のアプリケーションの市場が回復しつつあり、また小型ノートパソコンのメインボードとしての採用が増加している。特に全層タイプは、2009年までは日本国内の携帯電話のメインボードが市場の大半を占めていたが、海外スマートフォンメーカーのメインボードへの採用が活発化している。また、ノートパソコン、ポータブルオーディオ、デジタル一眼レフカメラのメインボードにも採用されはじめており、大幅に拡大すると見込まれる。ビルドアッププリント配線板の需要の大半は携帯電話のメインボードと半導体パッケージ基板であり、今後もこの構図に変化はないと推測される。携帯電話の需要は新興国を中心に拡大し、半導体パッケージ基板は携帯電話やパソコン市場に連動して拡大していくと予測される。

●部品内蔵基板
 2009年は、数量ベースで前年比50.6%減の1,770万個、金額ベースで同53.9%減の14.6億円となった。不況の影響で基板のユーザーであるセットメーカーの開発費が大幅に削減されたため市場は半減した。2010年は、海外メーカーの量産がスタートしており海外市場は立ち上がるものの、不況の影響は完全にはなくなっておらず、2008年と同程度までには回復しないとみられる。現在はモジュール基板として面積縮小のための部品内蔵基板の色合いが強いが、PoP(パッケージ オン パッケージ)のボトム側のパッケージ基板にアクティブ部品を内蔵し、低背下を実現するための部品内蔵基板のニーズが高まっている。そのため、内蔵部品もプロセッサのような高価な部品を内蔵するようになり、長期的には金額ベースで大きな伸びを示すと予測される。

●フレックスリジットプリント配線板
 2009年は、数量ベースで前年比25.0%増の30万m2、金額ベースで同31.7%増の216億円となった。携帯電話のカメラモジュールへの採用が多く、使用面積が小さいことが市場拡大のネックとなっていたが、スマートフォンやパソコンでメインボードとサブ基板間の接続に使用するケースが増加したことにより大幅増となった。ノートパソコンでは小型高機能機に採用されることが多く、コネクタ接続では基板同士の間隔や高さの制限から収まらず、この基板が複数枚使用されるケースがある。

●フレキシブルプリント配線板
 2010年は、数量ベースで前年比3.2%増の3,610万m2、金額ベースで同7.7%増の6,880億円の見通しである。主要アプリケーションは携帯電話、光ピックアップ、光ディスクドライブ、HDD、デジタルカメラ、ポータブルオーディオである。2009年と比較すると各アプリケーションは増加しているものの2008年の水準には戻っておらず、この市場も低い水準となっている。実装済みの配線板を供給することが多くなってきており、単価の底上げ効果による金額ベースの市場の伸びが高くなると推測される。


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