JFEスチールがインド大手鉄鋼メーカーと戦略的包括提携
JFEスチールは、インドの大手民間鉄鋼メーカーであるJSWスチールと戦略的包括提携契約に調印した。提携の第一歩として両社は、インドにおいて、自動車用鋼材分野で提携することに合意。この合意には熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板の製造技術の供与、原板供給、自動車需要家への応用エンジニアリングや製品開発を含む共同サービスの実施が含まれる。今後、両社は、関係当局の承認を得て、項目毎に別途個別の契約を締結し、実行に関する詳細な役割とスケジュールを取り決めていく。
JSWは世界の鉄鋼大手の中でも急成長を遂げており、年間粗鋼生産能力は現在の780万トンから2011年には1100万トンまで拡大する予定。粗鋼生産能力ではインド最大の民間鉄鋼メーカーであり、2009年度第2四半期には前年同期比で、粗鋼生産量は54%、鋼材販売数量は74%増加している。高付加価値製品の分野でも主要メーカーに成長しており、2010年3月には最新鋭の広幅熱間圧延工場が稼働する予定。また、2020年までにウエストベンガル州、ジャルカンド州に各々1000万トン/年の新規一貫製鉄所を完成させ、粗鋼生産能力を年間3200万トンまで引き上げる計画を有している。
インド市場において、新規プロジェクトの推進による能力拡大と技術力の向上を目指すJSWと、世界トップレベルの高級鋼製造技術ならびに環境・省エネ技術を有し、高成長が見込まれるインド市場において需要家への供給拠点確保を目指すJFEスチールとの事業強化の方向性が一致し、今回の戦略的包括提携契約の締結に至った。
両社は更に、インドにおいて、(1)自動車用鋼材以外の鉄鋼製品製造、(2)省エネ分野、(3)環境対策、(4)品質・歩留改善、(5)JSW社の設備能力診断、(6)各種指標のベンチマーキング化、(7)インド内外における原料調達、(8)JSW社が計画中のウエストベンガル製鉄所プロジェクト、(9)相互出資などの分野で、相互協力の可能性について検討を行う。
今回の提携で、JSWはJFEスチールの拡張プロジェクトの新たな展望を開き、上工程を中心に一貫鉄鋼生産体制の拡充を図っていく。一方、JFEスチールは、JSWとの関係を更に緊密なものとし、インド市場において生産を拡大する自動車会社の高級鋼の現地調達要請に応えるとともに、インド市場での成長戦略を一層強力に推進する。
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- [-]JFEスチールがインド大手鉄鋼メーカーと戦略的包括提携 2009/11/21 土曜日