itojunアワード受賞、IPv6開発でグーグル社員2人に
【広島11日PRN=共同JBN】初のitojunサービスアワード(Itojun Service Award)が11日、広島で開催中のインターネット技術タスクフォース(IETF)会議でグーグル社のロレンソ・コリッティ、エリク・クライン両氏に贈られた。両氏は次世代インターネット・プロトコルであるIPv6の開発と展開に貢献した大きな功績が認められた。
itojunサービス賞は昨年、2007年に37歳で永眠した萩野純一郎氏(インターネットのアカウント名itojun)を追悼して贈られる賞である。同賞はitojunの友人らが設立したもので、インターネットソサエティ(ISOC)が寄金を管理してIPv6開発の過程でitojunが果たした献身的な貢献を認め、追悼する。
itojunサービスアワード委員でWIDEプロジェクト代表である村井純教授(慶應義塾大学)は「ロレンソ、エリク両氏のたゆまない努力は、 IPv6を利用するウェブベース・サービスの可用性を明らかに広げている。これは世界のインターネットの持続的発展に役立てることを願って実質的な貢献を果たしたいというitojunサービスアワードの精神を反映している。itojunサービスアワードの目標は、インターネットが世界のイノベーション・プラットフォームとして恒久的に役立つことを保証するためには、IPv6と関連プロトコルならびにそれらの展開を前進させる努力の両方が重要であることを認識することである」と語った。
itojunサービスアワードは、インターネットに役立つことを願ってIPv6を開発、展開することに実質的に貢献することに特化している。同賞は毎年授賞することを目指し、クリスタル記念杯、3000ドルの報奨金、旅行券が含まれる。
グーグルのネットワーク・エンジニアであるロレンソ・コリッティ氏は「これは素晴らしい名誉である。itojunはIPv6コミュニティーの伝説的人物であり、インターネットの発展は彼のおかげである。彼の基礎的な仕事がなければ、IPv6についてわれわれが実現したことは何一つ不可能だった。われわれは巨人の肩に依存している。itojunはインスピレーションの根源である。彼と会い、われわれの仕事ぶりやわれわれもまたIPv6をインターネット・ユーザーにもたらそうという彼のビジョンを共有していることを二度と見てもらえなくて痛恨の思いである」と語った。
グーグルのIPv6ソフトウエア・エンジニアであるエリク・クライン氏は「彼の極めて大きな業績が与えた影響と比較すれば私が果たしたことはほんの一部に過ぎないので、itojunサービスアワードを受賞することは恥ずかしい思いである。グーグルが行っているIPv6開発努力は私個人にとって、インターネットとその将来に向けたものであるとともに、彼のビジョン、献身、情熱に敬意を表す道である」と語った。
IPv6は、IP準拠のネットワークで使用されるプロトコル開発に関与するインターネット・プレミア標準設定機関であるIETF内部で作成された。 IETF参加者は、インターネットおよびインターネット・アーキテクチャーの持続的進化の技術的オペレーションに携わるネットワーク設計者、オペレーター、ベンダー、研究者による国際コミュニティーを代表している。
itojunサービスアワードに関する詳しい情報はhttp://www.isoc.org/itojunを参照。
▽IPv6について
インターネットに接続するすべての機器は、個別のインターネット・プロトコル(IP)・アドレスが必要である。ほとんどすべてのインターネットは現在、それぞれIPバージョン4(IPv4)アドレスを使用している。IPv6は次世代のアドレス標準規格であり、IPv4よりはるかに大きなプールのパブリック・アドレス(PA)を提供する。IPv6は1999年以来利用可能になったが、IPv4アドレスで利用できるプールが終わるとして、IPv6に対するより深い理解と関心、展開がこれまで以上に重要になっている。
▽インターネットソサエティ(ISOC)について
インターネットソサエティは1992年に創設された非営利団体であり、インターネットに関連する標準規格、教育、政策に対するリーダーシップを果たしている。ISOCはワシントンとジュネーブにオフィスがあり、世界中の人々に利益となるようインターネットのオープン開発、発展、利用を確保する献身的努力を続けている。ISOCの詳しい情報はhttp://www.isoc.orgを参照。
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- [国際情報]itojunアワード受賞、IPv6開発でグーグル社員2人に 2009/11/13 金曜日