日本はアジアで1位、世界で16位、09年レガタム繁栄指数
【ロンドン27日PRN=共同JBN】民間の中立的研究機関であるレガタム研究所が26日発表した3回目のレガタム繁栄指数は、「経済成長」と「幸せ」、「生活の質」の評価測定値とを組み合わせた「繁栄」の定義に基づき世界104カ国(世界人口の90%をカバー)を格付している。民主主義国家の日本が16位でアジアのランキングのトップに立っている。日本は経済的な富と生活の満足感などすべての評価で強い点数をとったためで、香港(18位)、シンガポール(23位)、台湾(24位)など自由市場所在国が僅差で続いている。
レガタム研究所の上級副所長であるウィリアム・インボーデン博士は「レガタム繁栄指数は、富と生活の満足感に対する世界で唯一の評価である。アジアの多くの国は良好な経済ファンダメンタルズを持っているが、真の繁栄にはマネー以上のものを必要とし、民主的制度と個人の自由に対する得点が低いことがアジア諸国の格付を落としていることをこの指数が物語っている」と語った。同博士はさらに「カンボジア(93位)のような低レベルの経済的安定の国は、全体的な格付をさらに落とす結果になっている。全体的に見てこのことは、GDPなど富の標準的測定法と同程度に生活の満足感に対するファンダメンタルズを進めることによって、総じて繁栄の度合いを向上できることを強く示唆している」と結論付けた。
2009年レガタム繁栄指数の主要な結果は以下の通り。
-指数の第1位はフィンランドで、次いでスイス、スウェーデン、デンマークの順である。米国は9位、英国は12位。
-香港とシンガポールは、総体的な繁栄にとって不可欠な民主的制度が弱く個人の自由が少ないという状況でなければ、より高位にランクされるだろう。
-韓国(26位)もまた個人の自由の得点が低く、ランクを落とす結果につながっている。中国(75位)とベトナム(77位)も同様にこれらの弱点を持っているがより大きな程度にあることからランキングで(韓国より)はるかに低位に落ちる原因となっている。
-中国は経済の副次的指数で高得点だが、抑圧的な政府の姿勢が75位という低いランクにしている。インド(45位)は経済ファンダメンタルズが比較的弱いが、個人の自由と広くいきわたる福祉によって中国より高位に格付けされている。
-インドを除く東南アジアは、104カ国中の99位と全体的に最低の得点となったパキスタンについては安全保障に大きな懸念が示されるなどパフォーマンスは非常に低い。
指数は繁栄の基礎となる経済成長と個人生活の満足感を牽引する9つの主要な要因を判定する。これら9つの要因はそれぞれ副次的指数で表され、ある国の最終的な繁栄指数ランキングはそれぞれ同等の重要度で9つのすべての副次的指数の得点の平均値で決定される。
繁栄指数の詳しい情報は、すべての国のランキング、データと方法論のバックグラウンド説明、各国のプロフィールを含めて、http://www.prosperity.comで閲覧できる。
2009年レガタム繁栄指数は、世界の100カ国以上の40年余りのデータを数値的に解析したものに基づいている。指数はレガタム研究所が作成、監修したもので、オックスフォード・アナリティカ社の研究コンサルタンシーの助言と経済、歴史、開発、社会学、政治科学などの分野の優れた学術アドバイザー集団の助言を受けている。
▽2009年レガタム繁栄指数ランキング
(上位20カ国のランキング)
1 フィンランド
2 スイス
3 スウェーデン
4 デンマーク
5 ノルウェー
6 オーストラリア
7 カナダ
8 オランダ
9 米国
10 ニュージーランド
11 アイルランド
12 英国
13 ベルギー
14 ドイツ
15 オーストリア
16 日本
17 フランス
18 香港
19 スペイン
20スロベニア
(アジアのランキング)
16 日本
18 香港
23 シンガポール
24 台湾
26 韓国
39 マレーシア
44 タイ
45 インド
50 モンゴル
55 フィリピン
58 スリランカ
61 インドネシア
75 中国
87 バングラデシュ
90 ネパール
93 カンボジア
99 パキスタン
(下位10カ国のランキング)
95 ケニア
96 アルジェリア
97 タンザニア
98 ナイジェリア
99 パキスタン
100 カメルーン
101 中央アフリカ
102 イエメン
103 スーダン
104 ジンバブエ
▽繁栄指数の構成
繁栄指数は世界人口の90%を占め、客観的データと調査に対する主観的反応を組み合わせて利用している。このデータは79の異なる変数で構成され、それぞれ繁栄の基礎として判定される9つの異なる副次的指数のいずれかに変えている。各副次的指数の国別パフォーマンスが採点されて、それぞれの国について同等に重視される9つの副次的指数の平均得点で総体的な繁栄指数が生まれる。
成功している国を定義している繁栄の基盤は以下を含む。
-経済ファンダメンタルズ:富の創造に対する機会を与える成長を続ける健全な経済。
-起業家精神とイノベーション:新興企業に優しい環境と新しいアイディアの商用化。
-教育:人づくりを育てるための誰でも利用できる質の高い教育システム。
-民主主義制度:経済成長を促進するための透明性があり説明責任のある統治制度。
-ガバナンス:秩序を守り生産的な市民権を奨励する公正で有効な政府。
-健康:一般大衆の物理的に満足できる生活状態。
-個人の自由:個人が自らの生活の道を選択しうる程度。
-セキュリティー:人びとが機会を追求することができる安全な環境。
-社会資本:信頼できる人間関係と堅固なコミュニティー。
前後の記事
記事バックナンバー
- [調査・報告]日本はアジアで1位、世界で16位、09年レガタム繁栄指数 2009/10/28 水曜日