メルサナのXMT-1001、臨床試験の予備的結果を報告
【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)2日PRN=共同】メルサナ・セラピューティックス(Mersana Therapeutics)はこのほど、オーランドで開かれている米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2009年年次総会のポスターセッションで、同社のリード開発候補XMT-1001の第1相臨床試験の予備的結果を報告した。XMT-1001はメルサナの生物分解性のポリマー・プラットフォームであるフレキシマー(登録商標)で結合されたカンプトテシン(CPT)に基づく広範囲のスペクトルを持つ細胞毒である。
これまでに投与された評価可能な37人の患者のうち10人は病状安定の証拠を示し、7人の患者は少なくとも12週間にわたり病状安定が続いた。またこの研究はXMT-1001が患者に与えても安全であることを示した。出血性ぼうこう炎、重症の下痢のような毒性はこの予備的評価では観察されなかった。それだけでなく、好ましい薬物動態学的特性が観察された。
アブストラクトの全文はASCOのウェブサイト(www.abstract.asco/org)で見ることができる。
メルサナのジュリー・オルソン最高経営責任者(CEO)は「XMT-1001がこれまでに示した好ましい安全性、薬物動態学特性に勇気づけられている。これらの予備的な結果は、カンプトテシンと同様の作用メカニズムを持ち、結腸がん患者治療用に承認されているイリノテカンの比較可能な投与に比べ、XMT-1001がヒト腫瘍の異種移植モデルでより大きな効能を持っていることを示した臨床前研究を補強するものである。硬腫瘍病についてのXMT-1001の試験を第2相に進めるつもりだ」と語っている。
▽XMT-1001の予備的研究
この第1相試験は、進行した硬腫瘍患者に3週間に1回XMT-1001を静脈点滴するオープンラベルの投与量漸増研究である。研究の目的は最大受容可能量(MTD)を決定し、安全性と薬物動態学の評価を行うことである。最大受容可能量はまだ決定されておらず、研究の継続に従って増大される。
▽ASCOポスター情報
E・ソースビル、L・ガーボ、G・J・ウェイス、S・アンソニー、D・シュコルニ、A・V・ヤーコベトスキー、C・ベチューン、R・J・フラム、メリーランド大学(メリーランド州ボルティモア)ニューヨーク腫瘍血液学(ニューヨーク州アルバニー)Tジェン臨床研究サービス(アリゾナ州スコッツデール)メルサナ・セラピューティックス社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)コバンス・バイオアナリティカル(ウィスコンシン州マディソン)による「進行した硬腫瘍患者に対し3週間に1回静脈(IV)点滴するXMT-1001の安全性と薬物動態学(PK)についての第1相研究」。
セッション:開発段階の治療法:細胞毒性化学療法
タイプ:一般ポスターセッション
時刻:2009年5月30日午前8時から正午
場所:レベル2、ウェストホールC
▽フレキシマー(登録商標)について
メルサナのプラットフォームのカギとなる部分は、小分子、生物製剤と科学的に結合できる新しい生物分解性のバイオインサート・ポリマーのフレキシマーである。フレキシマー技術は、生物分解性を「生物学的ステルス特性」とユニークな方法で結合させ、フレキシマー物質とその結合体を長期循環性、非免疫毒性にすることによって、既存化合物の治療指数を改善する。フレキシマー分子は水溶性が特徴で、一般的な製造手順中で安定性がある。
▽メルサナ・セラピューティックス社(Mersana Therapeutics, Inc.)について
メルサナ・セラピューティックスは生物分解性のポリマー・プラットフォーム(フレキシマー)を利用して新しい、よりよい医薬品をつくり出している。複数の腫瘍病に対処できる可能性を持つ新しい化合物の自社臨床段階パイプラインを進展させている。また、多くの治療分野で核酸、生物製剤、小分子の安全性、効能、伝達上の難問を克服するため、提携関係を通じてフレキシマーの多機能性を活用している。
メルサナの本社はマサチューセッツ州ケンブリッジで、出資者はフィデリティー・バイオサイエンシズ、プロクエスト・インベストメンツ、Rhoベンチャーズ、ハリス&ハリス・グループ、ピュアテク・ベンチャーズなど。詳しい情報はwww.mersana.comへ。
フレキシマー(Fleximer)、メルサナ(Mersana)はメルサナ・セラピューティックスの登録商標。
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- [国際情報]メルサナのXMT-1001、臨床試験の予備的結果を報告 2009/06/02 火曜日