ジグビー・アライアンス、家庭内無線規格がIPをサポート
【サンラモン(米カリフォルニア州)30日PRN=共同JBN】世界規模の企業団体としてエネルギー管理、商用、および一般消費者向けの無線通信分野でソリューションの標準規格の策定を目指すジグビー・アライアンス(ZigBee Alliance)は27日、インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース(IETF)の世界的IT標準規格を、同アライアンスの低消費電力無線ネットワーク標準規格の仕様に取り入れると発表した。これにより、ジグビー仕様のアプリケーションプロファイルがさらに広がるとともに、すでに実証済みの公益企業体向けアプリケーションプロファイルである「ジグビー・スマート・エネルギー(ZigBee Smart Energy)」がより広範囲に採用され、急成長を遂げている「スマート・グリッド(Smart Grid)」のさらなる発展を促進することになる。
IETF標準を取り入れることによって、ジグビー・スマート・エネルギー製品は、IP(インターネット・プロトコル)をネーティブでサポートできるように機能が強化されるため、それぞれの製品がインターネットにシームレスにつながるようになる。さらに、ジグビー・アライアンスの会員企業は、IETF標準が持つ大規模ネットワーク・アドレス指定能力、セキュリティー、ITインテグレーションの知識と経験を利用できるようになり、既存の技術を活用して信頼性の高い、低コストのセンサーと制御機器による無線ネットワークを構築することができる。
ジグビー会員企業はIETFとの協調を通して、センサーと制御機器の無線ネットワークのさらなる革新的ソリューションを作りあげ、それらがまた新たな標準仕様の一部となっていく。現在、既存のジグビー規格でもインターネットとの接続性は提供されているが、IPをネーティブでサポートできるようになると、家庭内の無線機器と公益企業体の大規模ITネットワークとの間できめ細かい接続が可能になる。その結果、ジグビーの提供する低消費電力の無線ネットワーク・ソリューションの幅がさらに広がり、家庭、自動化、ヘルスケア、商業ビル自動化、通信、さらに一般消費者市場の分野で活動する企業の多様な需要に応えられるようになる。
米国の電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン社ポール・ディ・マティーニ副社長は「今回の進展は、ジグビー・スマート・エネルギーの標準規格としての強さとどこでも使えるインターネット規格を結びつけるもので、すべての人に恩恵をもたらすものだ。現在、スマート・メーターの設置が展開されているが、これがインターネット接続を含む永続的なグレードアップに向けてシームレスな過程に組み込まれていくことを確実にする。当社はスマート・グリッド計画を通して顧客の選択の幅を広げ、さらに長期的な資源の効率的な利用を提供しているが、その中でジグビーのスマート・エネルギー・ソリューションは重要な役割を果たしている」と語った。
エジソン・インターナショナル社(Edison International)の一事業部門であるサザン・カリフォルニア・エジソン社は米国カリフォルニア州最大の電力会社であり、480万口座、人口約1300万人の顧客に電力を供給している。
ジグビー・アライアンスは低消費電力無線ネットワークの有力な標準規格であり、オープンで拡張性に優れ、さらにグレードアップが可能である。これは、現在順調に展開されているスマート・グリッド上でのスマート・メーターの設置や、ジグビー・スマート・エネルギーのアプリケーションプロファイルを利用した家庭内ネットワーク(HAN)の普及をさらに促進するものだ。また今回の進展によって、家庭内ネットワーク機器、プラグイン電気自動車(PEV)、分散発電・電力貯蔵などを含むスマート・グリッド・アプリケーションの国際標準への動きが大きく推進されるだろう。
ジグビー・アライアンスのボブ・ハイル会長は「ジグビー無線標準規格はすでに確立され、周知されているだけでなく、成熟した技術であり、それがIETFのサポートを得てIPをネーティブに提供する能力を併せ持つということは、われわれ会員企業が、まさに待ち望んでいたことだ。会員企業はIETFと協力して無線センサー・ネットワークを開発することを期待している。ジグビー・アライアンスは、世界の指導的な低消費電力無線ネットワーク・ソリューションの開発に向けて、今後とも引き続きオープンな標準規格と協働し、サポートする方法を探っていく」と述べた。
今日、市場に存在する家庭内ネットワークの標準規格の中で、世界の公益事業体やエネルギー供給企業の厳しい要求に応えられるのはジグビー・スマート・エネルギーだけである。現在、北米地域ではジグビーを登載したおよそ3000万台のスマート・メーターの設置が行われている。
▽エネルギー管理と効率的利用の標準規格、ジグビー・スマート・エネルギー
ジグビー・スマート・エネルギーは、公益事業体やエネルギー供給企業と一般家庭に設置されたスマート・サーモスタットや機器との間の無線通信を可能にする。これによって消費者はどのメーカーが製造した機器でも選択することが可能になり、自動化されたリアルタイムに近い形で提供される情報を見て、より精密にエネルギー消費を管理する手段を手に入れることができる。電力・ガス・水道供給会社も、先端的な検針装置や需要に即応するシステムを導入することが可能になるため、エネルギー管理や効率的利用を進めることができるだけでなく、政府の方針にも柔軟に対応できるようになる。
▽無線通信管理技術、ジグビー
ジグビーはまったく異なる機器をつないで互いに協調させ、日々の生活を向上させるための無線通信言語である。ジグビー・アライアンスは非営利団体で、300社以上の会員企業がジグビー規格の無線技術を開発している。同アライアンスの目的は、ジグビーが世界の家電、エネルギー、家庭、商業、さらに産業用の無線ネットワーク、センサー、制御の標準規格として採用されるよう推進活動を行うことである。詳しい情報はウェブサイト(http: //www.ZigBee.org)を参照。
前後の記事
記事バックナンバー
- [国際情報]ジグビー・アライアンス、家庭内無線規格がIPをサポート 2009/05/01 金曜日