メリルリンチ調査、銀行株懸念薄らぎリスク選好復活
【ニューヨーク、ロンドン16日PRN=共同JBN】メリルリンチが16日に発表した4月のファンドマネジャー調査によると、グローバル経済センチメントの改善を背景にリスク選好が持ち直し始めた。成長に関する楽観論は2004年初め以来の最高水準に到達した。回答者のネット26%は今後12カ月間にグローバル経済が強くなると述べており、この数字は1月のマイナス24%から大幅に改善した。
3月とは対照的に投資家は見通しの改善に基づいて行動し始めており、かつて定着していた弱気のポジションを崩しつつある。重要な違いは銀行株に対する投資家の悲観論が後退し始めたことである。銀行株をアンダーウエイトとした回答者の割合は3月のネット48%が4月にはネット26%と大幅に低下した。現金でオーバーウエイトのスタンスを取った投資家の割合は3月のネット41%から28%に、株式でアンダーウエイトのスタンスを取った回答者は3月の41%から17%に減少した。資産配分者は技術など循環的変動分野に目を向けている。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ・リサーチ国際投資戦略共同責任者のゲーリー・ベーカー氏は「金融株に対するセンチメントの改善はセクター循環の停滞を決定的に打破した。このため成長に関する広範な楽観論がより大きなリスク選好につながることを可能にし、防衛株から景気循環株への資金の流れを促進する」と語った。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ・リサーチ国際投資戦略共同責任者のマイケル・ハートネット氏は「コンセンサスは終末論的な弱気から不承不承の強気にシフトした。しかし、資産配分者は依然として株式にアンダーウエイトのスタンスを取っており、新しい強気市場の考えを完全には取り入れてない点に留意することが重要だ」と語った。
▽中国に関する強気は6年来の高水準
中国は引き続きグローバル経済の希望の明かりだ。ポートフォリオマネジャーは2003年以降のどの時点よりも中国の成長について楽観的だ。回答者のネット26%は中国経済の成長が今後12カ月間で加速すると考えている。つい最近の昨年11月まで回答者の85%は中国経済が減速すると予想していた。
ハートネット氏は「グローバル経済の回復を期待している投資家は、欧州や日本よりも中国と新興市場を見ている」と語った。
主として中国の影響を受けて、株式に対するセンチメントの改善の大きな受益者は世界の新興市場だった。資産配分者のネット26%は資産クラスについてオーバーウエイトのスタンスを取っている。この比率は3月のちょうど4%から上昇した。新興市場の成長に不可欠のコモディティ(商品)は人気が上昇している。資産配分者のネット4%は資産クラスでオーバーウエイトのスタンスを取っているが、昨年8月以降初めてのネットオーバーウエイトである。
新興市場の次に投資家が好むその他の場所は米国である。回答者のネット18%は今後12カ月間、米国株式でオーバーウエイトのスタンスを取りたいとしているが、欧州と日本は人気がなくネット18%は両市場の株式でアンダーウエイトのスタンスを取ると述べている。
▽セクター配分で極端なポジショニングは終結
4月の調査は、投資家が防衛のため極端な資産配分をするに至った景気後退のわだちから抜け出し始めた確証を示している。銀行株でアンダーウエイトのポジションを低くするほか、資産配分者は伝統的な景気循環株セクターに戻り始めた。
最も人気のあるセクターは技術株で、回答者のネット27%はオーバーウエイト。3月に人気があり、弱気市場で古典的な避難所になる製薬株は30%のオーバーウエイトから21%まで人気が低下した。工業株はネット17%アンダーウエイトで3月のネット31%から低下した。投資家は3月にネット10%がアンダーウエイトだった原材料株には中立的だった。
▽ファンドマネジャー調査
総額5610億米ドルを運用する合計214人のファンドマネジャーは、4月2日から8日にかけて行われたこのグローバル調査に参加した。3560億米ドルを運用する合計181人のマネジャーは地域調査にも参加した。調査はロンドンを本拠地とするグローバルな市場調査会社テイラー・ネルソン・ソファーズ(TNS)の助力を得てバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ・リサーチが実施した。TNSは50カ国余りの国際ネットワークを通じて80カ国以上で市場情報サービスを国内、国際組織に提供している。同社は世界第4位の市場情報グループとランク付けされている。
▽バンク・オブ・アメリカについて
バンク・オブ・アメリカは世界最大級の金融機関で、あらゆる銀行業務、投資活動、資産運用、その他の金融・リスク管理商品とサービスを個人顧客や中小企業、大企業に提供している。同社は6100以上の小口金融を扱うオフィスと約1万8700台のATM、およそ2900万の人々が実際に利用する受賞歴のあるオンライン銀行業務を通じて、5900万以上の消費者および中小企業と取引関係を維持し、米国で比類のない利便性を提供している。バンク・オブ・アメリカは2009年1月1日にメリルリンチを買収したことで、世界をリードする資産運用企業の仲間入りを果たし、広範な資産クラスにわたって企業金融と投資銀行業務・取引のグローバルリーダーとなって、世界の企業、政府、機関、個人を対象とするサービスを提供している。バンク・オブ・アメリカは革新的で使い勝手の良い一連のオンライン商品とサービスを通じて400万以上の中小企業オーナーに対して業界をリードするサポートを提供している。同社は150カ国余りの顧客にサービスを提供している。バンク・オブ・アメリカ・コーポレーションの株式はダウ・ジョーンズ工業株平均の構成銘柄であり、ニューヨーク証券取引所に上場されている。同社の法人顧客と機関投資家に対する多くのサービスは、バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズLLCやバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ・リミテッド、メリルリンチ・ピアース・フェナー・アンド・スミス・インコーポレーテッド、メリルリンチ・インターナショナルなど米国および英国子会社を通じて提供される。詳しい情報はウェブサイト(www.bankofamerica.com)を参照。
▽メリルリンチについて
メリルリンチは40カ国・地域にオフィスを構え、2008年12月26日現在、顧客総資産約1兆2000億ドルを保有する世界有数のウエルスマネジメント、資本市場、投資顧問企業である。同社は投資銀行として広範な資産クラスにわたる証券とデリバティブのグローバルな大手トレーダー、引受機関であり、世界の企業、政府、機関投資家、個人の戦略的アドバイザーになっている。メリルリンチは世界最大級の上場投資運用企業であるブラックロック社(BlackRock Inc.)の約50%の株式を保有し、2008年12月31日現在の運用資産は約1兆3000億ドルに達している。メリルリンチに関する詳しい情報はウェブサイト(www.ml.com)を参照。同社は2009年1月1日にバンク・オブ・アメリカによって買収された。
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- [調査・報告]メリルリンチ調査、銀行株懸念薄らぎリスク選好復活 2009/04/17 金曜日