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世界経済見通しで楽観論強まる、メリルリンチ調査

 【ニューヨーク、ロンドン18日PRN=共同JBN】メリルリンチが18日に発表した3月のファンドマネジャー調査によると、投資家は世界経済の見通しについて2005年12月以来最も楽観的になっている。しかし、長期にわたる銀行危機は投資家に株式投資を思いとどまらせているようだ。

 投資家が12カ月先の世界経済の成長鈍化を予想しないのは、ここ3年あまりで初めてのことである。こうした見方が再燃した根底には中国経済に関する新たな楽観主義がある。ちょうど2カ月前、調査回答者のネット70%が中国経済は今年悪化すると考えていた。この数字は今月ネット1%に低下した。

 同時に、投資家の銀行株に対する悲観論が頂点に達しリスク選好度が落ち込んだ。資産配分者のネット48%は、今月それらはアンダーウエイトの銀行株であると語った。2月のネット39%から上昇した。2月の17%に対し3月は全体の22%がそれらは積極的なアンダーウエイトの銀行株だったと語った。回答者は特に日本株とユーロ圏の株式に弱気になっている。

 バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチの国際投資戦略共同責任者であるゲーリー・ベーカー氏は「3月の調査は投資家が経済回復を信じたいと願う兆候を示している。しかし、銀行株に対する警戒感がリスク選好度を固く抑えている」と語った。バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ国際投資戦略共同責任者のマイケル・ハートネット氏は「投資家が成長の楽観論とリスクリラクタンス(嫌気)のアノマリー(市場の変則性)をいかに解決するかが今春の株式市場の運命を決めるだろう」と語った。

 ▽株式から安全な場所へ
 株式のリスク選好度は経済見通しが改善したものの3月に著しい低下に転じた。回答者は前月に株式エクスポージャーを減らし、一方で現金保有高と債券投資を増やしたと語った。

 回答者のネット41%は株式にアンダーウエイトのスタンスを維持した。2月はネット34%だった。調査実施期間中に世界株式は15・5%下落した。投資家は債券市場に殺到したかのようにみえ、回答者の26%は資産クラスでオーバーウエイトのスタンスを取った。前月はネット7%だった。平均現金残高は2月の4・9%から5・2%に増加した。

 しかし、早期回復局面の兆候が現れた。回答者のネット42%は株式が過小評価されていると考えていた。この比率は2月のネット24%を上回った。セクター配分の変化は製薬株など最も防衛的な株からの資金移動を示している。このセクターはネット30%がオーバーウエイトのスタンスを取っているが2月はネット37%だった。同時に、回答者はもっと景気循環的な業界であるテクノロジー関連株へのエクスポージャーを高めた。このセクターは回答者のネット28%がオーバーウエイトのスタンスを取り、2月のネット15%を上回った。

 ▽ブラジル、ロシア、インド、中国(BRIC)諸国株が反騰、ユーロ圏・日本株は回避
 米国は依然として経済楽観論のエンジンだが、投資家は中国を中心とした新興国市場に強気の見方をするようになった。

 回答者は2008年8月以来初めて新興国市場株式にネットオーバーウエイト・ポジションを取った。ネット4%がこのセクターでオーバーウエイトのスタンスを取った。2月のネット4%のアンダーウエイトだった。同時に、コモディティー(商品)は続伸し、多くの投資家の資産クラスに対するアンダーウエイトのスタンスは1月のネット25%からネット6%まで低下した。

 マイケル・ハーネット氏は「成長に関する楽観論は新興国市場株式とコモディティーへのウエイトを高める形で表明された」と語った。対称的に、投資家はユーロ圏と日本への株式投資をさらに減らした。ハーネット氏は「もし経済データが成長期待を高めれば投資家はユーロ圏と日本の株式に対する極端なアンダーウエイトのポジションを見直すかもしれない」と語った。

 回答者のネット40%がユーロ圏の株式に、ネット39%が日本株にそれぞれアンダーウエイトのスタンスを取っている。

 ▽ファンドマネジャー調査
 総額5330億米ドルを運用する合計213人のファンドマネジャーは、3月6日から12日にかけて行われたこのグローバル調査に参加した。3650億米ドルを運用する合計183人のマネジャーは地域調査にも参加した。調査はロンドンを本拠地とするグローバルな市場調査会社テイラー・ネルソン・ソファーズ(TNS)の助力を得てバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ・リサーチが実施した。TNSは50カ国余りの国際ネットワークを通じて80カ国以上で市場情報サービスを国内、国際組織に提供している。同社は世界第4位の市場情報グループとランク付けされている。

 ▽バンク・オブ・アメリカについて
 バンク・オブ・アメリカは世界最大級の金融機関で、あらゆる銀行業務、投資活動、資産運用、その他の金融・リスク管理商品とサービスを個人顧客や中小企業、大企業に提供している。同社は6100以上の小口金融を扱うオフィスと約1万8700台のATM、およそ2900万の人々が実際に利用する受賞歴のあるオンライン銀行業務を通じて、5900万以上の消費者および中小企業と取引関係を維持し、米国で比類のない利便性を提供している。バンク・オブ・アメリカは2009年1月1日にメリルリンチを買収したことで、世界をリードする資産運用企業の仲間入りを果たし、広範な資産クラスにわたって企業金融と投資銀行業務・取引のグローバルリーダーとなって、世界の企業、政府、機関、個人を対象とするサービスを提供している。バンク・オブ・アメリカは革新的で使い勝手の良い一連のオンライン商品とサービスを通じて400万以上の中小企業オーナーに対して業界をリードするサポートを提供している。同社は150カ国余りの顧客にサービスを提供している。バンク・オブ・アメリカ・コーポレーションの株式はダウ・ジョーンズ工業株平均の構成銘柄であり、ニューヨーク証券取引所に上場されている。同社の法人顧客と機関投資家に対する多くのサービスは、バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズLLCやバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ・リミテッド、メリルリンチ・ピアース・フェナー・アンド・スミス・インコーポレーテッド、メリルリンチ・インターナショナルなど米国および英国子会社を通じて提供される。詳しい情報はウェブサイト(www.bankofamerica.com)を参照。

 ▽メリルリンチについて
 メリルリンチは40カ国・地域にオフィスを構え、2008年12月26日現在、顧客総資産約1兆2000億ドルを保有する世界有数のウエルスマネジメント、資本市場、投資顧問企業である。同社は投資銀行として広範な資産クラスにわたる証券とデリバティブのグローバルな大手トレーダー、引受機関であり、世界の企業、政府、機関投資家、個人の戦略的アドバイザーになっている。メリルリンチは世界最大級の上場投資運用企業であるブラックロック社(BlackRock Inc.)の約50%の株式を保有し、2008年12月31日現在の運用資産は約1兆3000億ドルに達している。メリルリンチに関する詳しい情報はウェブサイト(www.ml.com)を参照。同社は2009年1月1日にバンク・オブ・アメリカによって買収された。


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