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活況を呈する独太陽発電業界、フォトン・エキスポ開幕へ

 【ミュンヘン(ドイツ)4日PRN=共同JBN】世界的な経済危機の中でも、ドイツの太陽光発電(PV)業界は活況を呈している。ドイツ・ミュンヘンで3月4日から6日まで開催される「太陽光発電国際展示会2009」(フォトン・エキスポ2009)は、業界のベンチャー企業や有力企業がそろってその好況ぶりを披露することになりそうだ。ドイツは世界の太陽光発電をリードする地位を占め、業界全体を通じて活発な投資が行われており、太陽光発電の展示会を開催するには絶好の場所だ。

 太陽光発電業界は引き続き成長をとげる兆候を示しているが、それを可能にしているのは研究開発のブレークスルー、旺盛な需要、この分野への公共投資の継続、投資家に対する包括的な事業優遇処置などである。最新のデータによれば、ドイツの太陽光発電の出力ピークは全既存設置分では5・3GWp、新設分だけでも1500MWpと推定されている。太陽光発電に関しては、研究分野で最近ことに著しい進歩が見られる。なかでも注目されるのが、ドイツ・フライブルクのフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ISE)で、世界最高の太陽電池の変換効率を記録している。この太陽電池は41・1%の変換効率を達成しており、太陽発電業界全体にとって大きな可能性を開くものだ。この変換効率は、現在市場に出回っている標準的な太陽電池に比べて、著しく多くの太陽光がエネルギーに変換されることを意味する。

 研究開発面での重要な障害が乗り越えられたとはいえ、将来の研究開発の進歩のためにはさらなる投資が重要である。フラウンホーファー協会はドイツ・ドレスデンに新設した「ドレスデン有機材料・電子デバイス・センター」(COMEDD)で経済的に競争できるコストで、有機太陽電池や発光ダイオードのような有機半導体デバイスを製造するためのプロセス技術を開発しようとしている。一方、フラウンホーファーISEはフライブルクで「シリコン材料技術・評価センター」(SIMTEC)を立ちあげた。この新研究所でシリコン材料の研究を行う予定になっている。フラウンホーファーISEはシリコン結晶・ウエハー技術、ならびに結晶シリコン薄膜技術を高めることを考えている。

 ▽2009年とそれ以降の展望
 研究開発以外の分野でも多くの企業が太陽光発電産業に投資している。テュフ・ラインラント・グループ、アルファソーラー、ユーログラス、ソリブロ、ワッカー、エアソル(ボッシュ・グループ)などが最近投資計画を発表をしている。2009年だけでも開発案件がめじろ押しだ。アルファソーラー社は結晶シリコンを使った太陽電池モジュール製造のため、高度に自動化された工場を操業する予定だ。さらに欧州最大のガラスメーカーであるユーログラス社はザクセン=アンハルト州のハルデンスレーベンで太陽電池用ガラス製造工場を建設しており、2009年5月の操業開始が予定されている。

 2009年以降も太陽光発電業界の支えとなる重要な発表が次々と行われている。ワッカー社はザクセン州ヌンヒリッツに多結晶シリコン製造工場を建設する予定を発表した。投資額は総額7億6千万ユーロに達する。この工場は2011年操業予定で、バイエルン自由州ブルクハウゼンにある同社工場の拡張とも連携するものだ。エアソル社はテューリンゲン州アルンシュタットの工場で結晶シリコン太陽電池セルならびにモジュールの製造能力の拡張を行っている。同社は5億3千万ユーロを投じて、2012年までにアルンシュタット工場の製造能力を3倍に増強するとともに、工場の要員も2倍増する予定だ。

 フォトン・エキスポ2009の会場にはドイツ貿易・投資振興機関がブースを設けており、ドイツ市場に参入を計画、またはすでに参入済みで規模拡張を計画している海外の太陽光発電関連企業に対して協力する態勢になっている。ドイツ貿易・投資振興機関の産業エクスパートがミュンヘン会場の「C2・B28」ブースに詰めており、興味を持つ企業に対して、可能な投資案件を案内することになっている。ドイツ貿易・投資振興機関は対外貿易ならびに国内投資を促進するためのドイツ連邦共和国の機関である。

 同機関はドイツ市場への参入を図る外国企業ならびに海外市場へ進出しようとするドイツ企業両方に対してアドバイス、支援を行っている。同機関への問い合わせが外部に漏らされることはない。詳しい情報はウェブサイト(http://www. gtai.com)を参照。


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