中国経済への懸念薄らぐ、メリルリンチ調査
【ニューヨーク、ロンドン18日PRN=共同JBN】メリルリンチが18日に発表した2月のファンドマネジャー調査によると、世界の経済センチメントで中国の成長見通しに対する新たな楽観論は著しく改善した。
2007年7月に信用収縮が根付いて以来、1年先に対する投資家の期待は最も高まり今後12カ月以内に経済が悪化すると予想する人の数は1月のネットマイナス24%に対しネットマイナス6%だった。しかし大半は世界経済が景気後退期にあると認識している。
中国経済の低迷が長引くとの懸念は薄らいでいるようだ。今後12カ月間に中国の成長が鈍化すると予測する投資家の数は急減し、1月のネット70%に対し2月にはネット21%になった。
同様に企業収益の見通しに対する深刻な悲観論も和らぎ始めた。回答者のネット43%は1年後の利益の減少を予想しているが、12月に同じ見方をしていた63%から大幅に低下した。回答者のネット49%は今後12カ月間にインフレ率が低下すると予想しているが、この比率は1月が64%、昨年12月が82%だった。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ・リサーチのグローバル新興市場株式担当チーフストラテジストであるマイケル・ハートネット氏は「中国の経済成長に対するファンドマネジャーの期待は劇的に高まり2007年以来の最高水準に達し、現在グローバルデカップリングのかすかな希望は中国だけに見られる」と語った。
▽株式投資が循環株に向かいコモディティー(商品)が復活
過去2カ月の資産配分の変化の点から見るとコモディティーが急反発した。投資家はコモディティーでネット15%のアンダーウエートポジションを有していたが、12月はネット32%のアンダーウエートポジションだった。
債券のウエーティングは減少したが株式配分は12月と同じポジションの34%のアンダーウエートに反落した。投資家は伝統的な防衛への資金配分を切り詰め循環株への配分を増やした。
テレコム、保険、主要商品、公共株のウエーティングは低下。同時に投資家は技術、エネルギー、素材、工業株、消費支出のポジションを高めた。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチのEMEA(欧州・中東・アフリカ)株式戦略担当責任者であるゲーリー・ベーカー氏は「高いリスク選好度、コモディティーセンチメントの高まり、ストロングバリュエーションはエネルギー、素材分野への投資をさらに勇気づける可能性がある。こうしたことは英ポンド建てで行うのがベストだと考える」と語った。
▽好調な米国株と低調な日本株
米国株需要は2月に復活したが、これは恐らく1月の市況が不振だったことによる。2月の米国株のネットオーバーウエートポジションは15%に上昇した。前月は7%の上昇だった。米国は最良の利益見通しから利益を得ており、回答者の31%は今後12カ月間に米国株のオーバーウエートを望んでいる。
同時に日本への投資は完全に低下し、投資家が保有するネットアンダーウエイトポジションは1月の15%に対し26%だった。伝統的に日本株は市場センチメントの広範な盛り上がりから利益を得ていた。調査によると、日本は(円が)過大評価された主要通貨であるためこれに苦しんでいる。
回答者は初めて円がユーロよりも過大評価されていると見ている。ユーロに対する悲観的見方は広範囲にわたり緩和され、一方で同地域のマクロ経済的見通しは若干好ましいものとなっている。
ベーカー氏は「ユーロ圏の成長期待は2月に過去12カ月間で最高水準に高まった。しかし世界の状況とは対照的に欧州のポートフォリオマネジャーは2001年10月以来の最高水準に急増した現金を重く見過ぎている」と語った。
▽ファンドマネジャー調査
総額5990億米ドルを運用する合計212人のファンドマネジャーは、2月6日から12日にかけて行われたこのグローバル調査に参加した。3720億米ドルを運用する合計177人のマネジャーは地域調査にも参加した。調査はロンドンを本拠地とするグローバルな市場調査会社テイラー・ネルソン・ソファーズ(TNS)の助力を得てバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ―メリルリンチ・リサーチが実施した。TNSは50カ国余りの国際ネットワークを通じて80カ国以上で市場情報サービスを国内、国際組織に提供している。同社は世界第4位の市場情報グループとランク付けされている。
▽バンク・オブ・アメリカについて
バンク・オブ・アメリカは世界最大級の金融機関で、あらゆる銀行業務、投資活動、資産運用、その他の金融・リスク管理商品とサービスで個人顧客や中小企業、大企業にサービスを提供している。同社は6100以上の小口金融を扱うオフィスと1万8700台以上のATM、2900万以上の人々が実際に利用する受賞歴のあるオンライン銀行業務を通じて、5900万以上の消費者および中小企業と取引関係を維持し、米国で比類のない利便性を提供している。バンク・オブ・アメリカは2009年1月1日にメリルリンチを買収したことで、世界をリードする資産運用企業の仲間入りを果たし、広範な資産クラスにわたって企業金融と投資銀行業務・取引のグローバルリーダーとなって、世界の企業、政府、機関、個人を対象とするサービスを提供している。バンク・オブ・アメリカは革新的で使い勝手の良い一連のオンライン商品とサービスを通じて400万以上の中小企業オーナーに対して業界をリードするサポートを提供している。同社は150カ国余りの顧客にサービスを提供している。バンク・オブ・アメリカ・コーポレーションの株式はダウ・ジョーンズ工業株平均の構成銘柄であり、ニューヨーク証券取引所に上場されている。同社の法人顧客と機関投資家に対する多くのサービスは、バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズLLCやバンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ・リミテッド、メリルリンチ・ピアース・フェナー・アンド・スミス・インコーポレーテッド、メリルリンチ・インターナショナルなど米国および英国子会社を通じて提供される。詳しい情報はウェブサイト(www.bankofamerica.com)を参照。
▽メリルリンチについて
メリルリンチは40カ国・地域にオフィスを構え、2008年9月26日現在、顧客総資産約1兆5000億ドルを保有する世界有数のウエルスマネジメント、資本市場、投資顧問企業である。同社は投資銀行としては広範な資産クラスにわたる証券とデリバティブのグローバルなトレーダー、引受機関であり、世界の企業、政府、機関投資家、個人の戦略的アドバイザーになっている。メリルリンチは世界最大級の上場投資運用企業であるブラックロック社(BlackRock Inc.)の約50%の株式を保有し、2008年12月31日現在の運用資産は約1兆3000億ドルに達している。メリルリンチに関する詳しい情報はウェブサイト(www.ml.com)を参照。同社は2009年1月1日にバンク・オブ・アメリカによって買収された。
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- [国際情報]中国経済への懸念薄らぐ、メリルリンチ調査 2009/02/19 木曜日