現在位置: HOME > ニュース&コラム > ビジネス・産業 > 国際情報


米大統領が新たな海洋保護区を設定、ピュー慈善財団が称賛

 【首都ワシントン7日PRN=共同JBN】ブッシュ米大統領は7日、日本の大陸より規模が大きい、合計19万5000平方マイル以上に及ぶ太平洋区域に、3件の新しい海の国定記念物を指定するとした。2006年に北西部ハワイ諸島で設立されたパパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント(Papahanaumokuakea) と合わせて、世界の海洋環境保護史上、これまでに保護されてきた領域を上回る33万5561平方マイルを保護する国定記念物がブッシュ大統領によって指定されることになる。

 ピュー慈善財団・環境グループ(Pew Environment Group)の専務理事、ヨシュア・S・ライヘルト氏は「ブッシュ大統領によるこの歴史的な行動は、世界でも極めて稀で生物学的に重要な海洋生息地の一部を保護するものであり、これは2年前に設立されたハワイ海兵隊員記念碑とともに、消え行く原生地を保全する必要を人類がどれだけ理解はしても、世界が共通して抱える問題として理解することができなかった時代に終止符を打つ」と語った。

 保護区域で最も大きなものは、北マリアナ諸島を囲み、さらに世界最深の峡谷であるマリアナ海溝が含まれる。マリアナ諸島を国定記念物とするだけでも9万5000平方マイルを保護することになり、これはDNAレベルで最古最の生命の一部が含まれる。これだけでも、世界で3番目の海洋保護区になる。多様な水面下の特徴の中でも特に注目すべきものは活動中の巨大な泥火山で、これは直径31マイル以上に及ぶ第2の液体硫黄沸騰プール(淵)である(第1のプールは、イオ=木星の衛星のうちの 1 つ、で発見されている)。これは、海洋酸性化とそれが育む珊瑚礁と浅瀬海洋生物の産みの親とも言える、非常に酸性度の高い熱水噴出孔である。

 この地域での海洋哺乳類調査では、いくつかの希少種を含む19種のオオギハクジラが発見されている。さらに陸地は、火山の熱で卵を孵化させる唯一の鳥、絶滅寸前のミクロネシアのツカツクリをはじめとし、絶滅危惧類のオオコウモリや、20万羽を超える繁殖集団になる渡り鳥、そして世界最大の陸地生活節足動物である巨大なヤシガニのシェルターである。

 これまでの2年の間で、ピュー慈善財団・環境グループのグローバル・オーシャン・レガシー・プログラム(Global Ocean Legacy Program)は、ブッシュ政権と市民とともに取り組み、マリアナ諸島を囲む水域で大規模な海洋保護区の概念を進展させるために、北マリアナ諸島連邦の職員を選出し、200以上の地元企業と6000人の市民が、世界に通用する海の国定記念物を支援する嘆願書に署名した。

 ピュー慈善財団・環境グループは、マリアナ諸島の経済界と フレンズ・オブ・モニュメント(Friends of the Monument:マリアナ海溝を国定記念物化を推進している地元組織)と協力して、公開討論会で提案された国定記念物を吟味するために100回以上の市民集会の開催に協力した。さらに、マリアナ諸島経済への国定記念物の潜在的経済利益の評価を含めて、提案された国定記念物地域に含まれる生物学的および地質学的資源の包括的な科学的なプロファイルを開発した。

 サイパンに拠点を置くフレンズ・オブ・モニュメント会長アイク・カブレラ氏は「ブッシュ大統領がマリアナ島海の重要性と豊かさを認めたことを誇りに思う。現在、私たちが長い間、大切にしてきたこの特別な場所を世界と共有することができる」と述べた。
 これらの遠くて美しい島と海には、豊かな歴史がある。ウェーク島とサイパンは第二次大戦の重要な戦地であり、マリアナ諸島は、降伏しない日本人を何人かを最後までかくまった場所である。

 「これらの場所から未知の商用資源を短期的に略奪するよりも、安全に保護することで測り知れないほど多くのものを得ることになる。利害のバランスを量る努力において、大統領は漁業や天然資源の採掘で、商業的利益を得るよりも、その海洋環境が失われる前に、保護することが米国民の長期的な利点であることを熟慮した。大統領のこの決定は常識である」とライヘルト氏は語った。

 高解像度の画像など、マリアナ海溝に関する詳細は、Global Ocean Legacy のウェブサイト、 www.globaloceanlegacy.org を参照。

 グローバル・オーシャン・レガシーは、オーク・ファウンデーション(Oak Foundation)とロバートソン・ファウンデーション・アンド・ザ・サンドラー・ファミリー・サポーティング・ファウンデーション(Robertson Foundation and the Sandler Family Supporting Foundation)の協力の下、ピュー慈善財団・環境グループによって始動されたプロジェクトである。そのゴールは、生態系規模のメリットをもたらす世界的な海洋保護区の将来を守るために、地元市民と政府団体と協力して、世界的な遺産を保全を促進することである。


関連記事

powered by weblio


前後の記事



記事バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する