欧州医薬品庁に認可申請、小児用13価肺炎球菌ワクチン
【カレッジビル(米ペンシルベニア州)4日PRN=共同JBN】ワイスは4日、重症の肺炎球菌症に関係する13種の最も一般的な血清型に対する保護を提供する治験ワクチンの承認を申請した。
ワイス(NYSE:WYE)の1部門であるワイス・ファーマシューティカルズ(Wyeth Pharmaceuticals)は4日、治験段階の乳幼児向け13価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV13)の販売承認を求める販売認可申請(MAA)を欧州医薬品庁(EMEA)に提出したと発表した。ワイスは生後2カ月から5歳までの乳幼児向けのこの治験ワクチンに含まれている13種の血清型で起こる肺炎球菌症(PD)の予防を適応とすることを求めている。MAAの審査は欧州連合(EU)加盟27カ国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインのためにEMEAが調整して行う。
PCV13には重症のPDに関係する13種の最も一般的な血清型が含まれている。このうち7種(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)は、プレブナー(Prevenar商標)(肺炎球菌サッカリド結合型ワクチン、吸収型)-現在の乳幼児の肺炎球菌症予防の世界標準-に含まれている。追加された6種の血清型(1、3、5、6A、7F、19A)は残留型の侵襲性疾患という最大の重荷に関わるものである。プレブナー(PCV7としても知られている)もPCV13もCRM197-免疫学的輸送タンパク質で、小児ワクチンで20年にわたる使用の歴史がある-を使っている。
ワイス・ファーマシューティカルズのエミリオ・エミーニ執行副社長(ワクチン研究開発担当)は「本日の申請はワイスにとって重要な節目であり、現在および将来の世代を重症の肺炎球菌症から保護する手助けをするというわが社のコミットを強調するものだ。プレブナーは導入以来、公共保健に大きな影響を与え、これが日常的に使われている所では侵襲性肺炎球菌症の発症率が劇的に減少している。治験段階の13価肺炎球菌結合型ワクチンは保護の範囲を広げるように設計されており、世界の乳幼児の侵襲性肺炎球菌症の最大92%をカバーできる可能性がある」と語っている。
EU規制当局へのPCV13認可申請には7000人以上の乳幼児を対象にした12の第3相研究のデータが含まれている。これらの研究のデータは、両ワクチンに共通の肺炎球菌血清型に対するPCV13の免疫性は事前に設定された一連の免疫学基準を使ったプレブナーの免疫性と同等であることを示している。さらに、PCV13は追加された6種の血清型に対する抗バクテリア機能性抗体を引き出す。これらの観察結果は、PCV13がプレブナーと同様に効果的に両ワクチン共通の7種の血清型による侵襲性肺炎球菌症(IPD)の予防を助け、追加された6種の血清型によるIPDの予防も効果的に助けることを示唆している。この結果は、PCV13とプレブナーの安全性、受容性は同等であり、PCV13は一般的に用いられる小児ワクチンと併用できることも示している。
今年初め米食品医薬品局(FDA)は乳幼児PCV13に対して「ファストトラック(迅速審査)」指定を与えた。ファストトラック指定は医療上の必要が満たされていない重症または生命を脅かす病気向けの製品の審査を容易にすることを目指している。同社は2009年第1四半期にこのワクチンの小児使用申請手続きを完了する見込みであり、ほかの小児使用申請手続きも近く開始する。
▽肺炎球菌症
肺炎球菌症は子どもも成人もかかる病気で、世界で主要な病因、死因である。肺炎球菌症は菌血症/敗血症、髄膜炎や肺炎、中耳炎を含む一連の病気を指し、そのすべてが肺炎連鎖球菌によって起こる。最近、候補ワクチンに含まれている肺炎球菌血清型19Aの流行が世界の多くの地域で増加しており、抗生物質に対して耐性を示すものが多くなっている。
肺炎球菌症の負担が大きいこととワクチンの効果が示されたことから、世界保健機関(WHO)は世界の国による小児免疫計画にPCV7を優先的に含めるよう勧告している。
▽プレブナー(PCV7)の重要な安全性情報
小児を対象とした臨床研究(n=18,168)で最も多く報告された悪性事象は注射個所の反応、熱(38度C以上)、いらいら、眠気、眠りの浅さ、食欲減退、おう吐、下痢、発疹などだった。プレブナーを含むすべてのワクチンにリスクは伴う。ジフテリア・トキソイドを含むワクチン成分に対して過敏性がある場合は使用禁忌である。プレブナーはワクチンの血清型に対する100%の保護をするものではなく、ワクチンにない血清型に対する保護は提供しない。肺炎球菌の血清型、血清型グループの発生頻度は国によって異なることがあり、どの国においてもワクチンの効果に影響することがあり得る。
▽ワイス・ファーマシューティカルズ
ワイスの1部門であるワイス・ファーマシューティカルズは女性の健康ケア、感染症、胃腸の健康、中枢神経系、炎症、移植、血友病、腫瘍、ワクチン、栄養製品の分野で有力な製品を持っている。
ワイスは世界最大の研究主導の医薬品、健康ケア製品会社の1つである。世界中のひとびとの生活の質を向上させる医薬品、ワクチン、バイオテクノロジー製品、栄養製品、非処方薬の発見、開発、製造、販売のリーダーである。同社の主要部門はワイス・ファーマシューティカルズ、ワイス・コンシューマー・ヘルスケア、フォートダッジ・アニマル・ヘルスなど。
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- [国際情報]欧州医薬品庁に認可申請、小児用13価肺炎球菌ワクチン 2008/12/04 木曜日