原油価格100ドル割る可能性も、米ＥＩＡ局長講演
【ワシントン２７日ＰＲＮ=共同ＪＢＮ】米エネルギー情報局（ＥＩＡ）のガイ・カルーソ局長は２７日、原油価格は世界需要の鈍化と石油増産により今後１８カ月で１バレル＝１００ドル以下に落ち込む「可能性がある」と語った。
カルーソ氏は同日ワシントンで開催された「プラッツ・エネルギー・ポーディアム」で記者団に対し述べた。
カルーソ氏は「世界需要の鈍化と米国、ブラジル、カナダ、さらにサウジアラビアやアンゴラといったＯＰＥC（石油輸出国機構）諸国の増産で（価格は）１バレル＝１００ドル以下になる可能性があると考えている」と語った。
カルーソ氏はＥＩＡの公式予測ではないが「リスクの大半は良い面があり」、世界の石油需要が軟化する中で世界の余剰生産能力が続き現在の日量１５０万バレルから３００－４００万バレルまで増加すれば、石油価格下落のシナリオは『五分五分の可能性に近いもの』になると語った。
この９月にＥＩＡ局長を退任するカルーソ氏は「このシナリオは過去５年のいかなる時期よりも現実味を帯びている」と語った。
また、カルーソ氏は、石油価格の低下は「ＯＰＥＣ内の対立を生み出す可能性もある」と語った。
ＥＩＡは今月初め、石油価格が２００８年は１バレル当たり１２０ドルから１３０ドルの間にとどまると予想しているとの見解を明らかにしていた。原油価格は７月１１日に史上最高の１バレル＝１４７・２７ドルに達した。それ以降、価格は需要減退で２０%以上も下落した。
また、カルーソ氏は戦略石油備蓄や家庭向け暖房用石油の放出は価格にほとんど影響を与えないだろうとの考えを再度表明した。同氏は「本当の緊急事態のために石油を確保しておく方が大事だろうと考えている」と語った。
ナンシー・ペロシ米下院議長や民主党の大統領候補者と予想されるバラク・オバマ上院議員を含めその他の民主党議員は、ガソリン価格を引き下げるため米国内供給の約１０%に相当する原油７０００万バレルを国家緊急備蓄から放出するよう求めていた。
カルーソ氏は石油価格が下落を続けた場合でも２００８年に米国内で９０億ガロンのバイオ燃料の使用を義務付けた再生燃料使用基準（ＲＦＳ）など多くの政策が後退あるいは縮小する可能性はないだろうと語った。
同氏は「後戻りはない。われわれは転換点に近づいている」と語った。
カルーソ氏は連邦大陸棚（ＯＣＳ）とメキシコ湾での試掘拡大や石油投機家の抑制をめぐる米議会の議論も原油価格の低下とほとんど関係なかったと語った。同氏は「長期にわたる石油生産の漸増は価格に大きな影響を与えない」と述べた。
マグローヒル・カンパニーズの１部門であるプラッツが主催するプラッツ・エネルギー・ポーディアムは著名なニュースメーカーと報道機関が重要なエネルギー、環境問題に対応するための継続的なフォーラムを提供する。メディア関係者はナンシー・コベイ氏（電話：202-942-8719, Nancy_Covey@platts.com）に連絡すれば、エネルギー・ポーディアム関連イベントへ登録できる。ガイ・カルーソ氏の講演記録はウェブサイト（http://platts.com/energypodium/index.xml/）からポッドキャスト経由で利用可能。
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- ［電力・発電］原油価格100ドル割る可能性も、米ＥＩＡ局長講演 2008/08/27 水曜日
