高級アルミ製品のアレリス、第2四半期のEBITDA増加
【ビーチウッド(米オハイオ州)11日PRN=共同JBN】高品質アルミニウム製品の世界大手アレリス・インターナショナル社(Aleris International, Inc.)は11日、今年6月30日に終了した2008年第2四半期の決算を発表した。
▽第2四半期ハイライト
-特別項目を除外した継続的事業のEBITDA(金利・税金・償却前利益)は、世界経済の基調が引き続き軟化したにもかかわらず前年同期の9690万ドルから8%増加して1億450万ドルになった。
-操業コスト削減の推進、生産性の向上、北米での製品出荷量の減少への対応のため工場に重点を置いたコスト計画と一般管理費の最適化を引き続き実行した。
-生産性の向上による節約と事業買収の相乗効果は同四半期に2900万ドルに達し、持続的な商品原価の上昇と全般的なインフレを相殺して余りあった。
-利益率と製品ミックスの改善による欧州での同社の戦略的能力拡張の効果が表れ始めた。
-同社事業に打撃を与えるコスト・インフレーションの進行に対応するため値上げを実施した。
-米州担当の最高経営責任者(CEO)にガルディノ・クラロ氏を任命して経営陣を強化した。
-2008年6月末までの12カ月間の相乗効果を含めた継続的事業の修正EBITDA試算は3億9300万ドル、流動性は4億4200万ドルだった。
(単位:断わりのない限り米ドル)(注1参照)
アレリス・インターナショナル社
6月末までの3カ月 6月末までの6カ月
2008 2007 2008 2007
(未監査) (未監査)
(100万ドル/ポンド)
世界出荷額(ポンド):
圧延製品・押出成形品 523.3 527.3 1040.3 1083.5
世界リサイクリング 878.2 784.1 1762.6 1541.8
総収入 $1714.2 $1468.1 $3274.7 $2924.6
継続事業の(損失)利益
(0.9) 22.7 (0.3) (21.7)
純(損失)利益 (0.9) 34.9 3.4 (18.2)
特別項目を除外した継続的事業のEBITDA(注2参照)
104.5 96.9 183.9 203.4
継続的事業の営業活動によるキャッシュフロー
(12.1) 91.1 (187.9) 90.5
継続的事業のフリーキャッシュフロー(注2参照)
68.4 101.0 (144.8) 153.5
(注1)
同社は最終的に運転資本の調整を行うことを条件として2008年1月11日に亜鉛事業の売却を完了した。亜鉛事業はこのプレスリリースと未監査四半期決算報告書で廃止部門として報告されている。特に断りがない限りすべての説明とデータは亜鉛事業を除外している。
(注2)
このプレスリリースは継続的事業のEBITDA、特別項目を除外した継続的事業のEBITDA、継続的事業のフリーキャッシュフローを含め、さまざまな非GAAP(一般的に認められた会計原則)財務評価尺度に言及している。これら評価尺度を算出するために使用する方法は、他社が使用する方法とは異なる可能性がある。これら非GAAP評価尺度は分析手段としては限界があり、GAAPに従って作成したアレリスの財務実績の尺度と共に考慮すべきであり、単独であるいはその代替としてあるいはそれよりも優れたものと考慮すべきでない。投資家は非GAAP財務尺度と比較可能なGAAPの金額を調整した添付数表を検討することが求められる。
このプレスリリースで使用されている「継続事業のEBITDA」は、利息収入、支払利息、税金、(有形固定資産と無形固定資産の)減価償却、少数株主利益を差し引く前の継続的事業による利益(損失)と定義される。このプレスリリースで使用される「特別項目を除外した継続的事業のEBITDA」は、リストラとその他費用、デリバティブ関連金融商品の含み益と含み損、購買会計を通じた在庫・その他項目の評価増の影響、非現金株式ベースの報酬、スポンサー関連費用、負債の早期償却に伴う利益などを除外した継続的事業によるEBITDAと定義される。このプレスリリースで使用される「継続的事業のフリーキャッシュフロー」は、特別項目、受取勘定・在庫・支払勘定の増減(事業統合で取得する運転資本は除外)、資本支出の減少を除外した継続的な事業のEBITDAと定義される。在庫の変化を決定する際に、購買会計を通じた在庫評価増の影響があるため公表バランスシートの金額は除外されている。経営陣は継続的な事業のEBITDA、特別項目を除外した継続的な事業のEBITDA、継続的な事業のフリーキャッシュフローを業績の評価指標として使用しており、これらの評価尺度は同社の基本的な事業目標の遂行、将来の債務処理能力、資本支出と運転資本のニーズに関して同社の証券所有者と貸し手が通常使用する追加情報を提供すると考えている。経営陣は同社の利害関係者がこれら特別項目の影響を受けないで同社の事業結果と進行中の重要な事業の成果を理解する上で、特別項目を除外した継続的な事業のEBITDAは有益であると考えている。
▽第2四半期の事業実績
アレリスは2008年第2四半期の収益が17億ドル、継続的事業の損失が90万ドルと発表した。継続的事業の損失に含まれるのはデリバティブ関連金融商品の含み益2180万ドル、リストラ・その他経費420万ドル、購買会計項目590万ドル、スポンサー関連手数料と経費220万ドル、非現金株式ベースの報酬費用80万ドルなど。同四半期の特別項目を除外した継続的事業のEBITDAは1億450万ドルだった。
2007年第2四半期の収益は15億ドル、継続的事業の利益は2270万ドルだった。継続的事業の利益に含まれるのは購入会計項目の1950万ドル、リストラ・その他経費160万ドル、スポンサー関連手数料と経費230万ドル、非現金株式ベースの報酬110万ドル、デリバティブ関連金融商品の含み益3830万ドルだった。同四半期の特別項目を除外した継続的事業のEBITDAは9690万ドルだった。
2008年第2四半期の特別項目を除外した継続的事業のEBITDAは、前年同期の9690万ドルから8%増加して1億450万ドルになった。この改善はそれぞれのグローバル・セグメント内の大幅な生産性の向上によるもので、商品インフレの高進と材料マージンの高騰を相殺して余りあった。欧州での戦略的な能力の拡張効果とユーロ高に加えて、北米仕様合金事業でのスプレッド(販売価格と溶融金属コストとの差)の拡大がプラスに作用した。これらの改善は北米の建設・自動車業界および欧州の特定業界での需要減退に伴う製品出荷の減少(前年同期比)により一部相殺された。
次に、特別項目を除外した継続的事業のEBITDAは2008年第2四半期に同第1四半期の7940万ドルから2510万ドル増加して1億450万ドルになった。この改善は好調な欧州事業と北米仕様合金事業のスプレッドの拡大、季節要因によってもたらされた。
アレリスのスティーブン・J・デメトリオ会長兼最高経営責任者(CEO)は「北米で広まっている景気後退条件や当社のグローバル事業部門の出荷量を減少させている欧州の一部最終消費業界の軟調にもかかわらず、前年同期比で第2四半期の業績が改善したことを喜んでいる。当社の生産性プログラムは商品コスト・インフレーションを相殺する積極的な商業イニシアチブと相まって、需要が上向けば単位原価を大幅に引き下げ、採算を向上させることになると考えている」と語った。
▽世界圧延製品・押出成形品
同社の世界圧延製品・押出成形品部門は2008年第2四半期に4070万ドル、2007年第2四半期に3200万ドルのセグメント(部門)利益を計上した。購買会計調整の影響を除外したセグメントEBITDAは2008年第2四半期に8970万ドルと前年同期の8600万ドルから4%増加した。この業績改善は大幅な生産性向上、為替利益、材料マージン(利益率)の上昇によるもの。材料マージンの上昇は欧州での好調な価格設定とマージン、メタルラグのマイナス要因の減少によるもので、北米の製品ミックスに関係するスクラップ・スプレッドの縮小を十分に相殺して余りあった。これらの改善は北米建設業界の需要不振と欧州の一部最終消費業界の軟調による製品出荷量の減少で一部相殺された。
▽グローバル・リサイクリング
2008年第2四半期のセグメント利益は3160万ドルと前年同期の2480万ドルを上回った。今年第2四半期の購買会計調整を除外したセグメントEBITDAは4400万ドルと前年同期の3130万ドルから41%増加した。この改善はウォバッシュ・アロイから買収した事業、特別仕様合金のスクラップ・スプレッドの拡大、リサイクリング価格の上昇、工場閉鎖と生産性の効果によるもので、自動車関連特別仕様合金事業とリサイクリング顧客層の需要減退を相殺して余りあった。
▽企業経費
企業経費は主として、事業部門で支出される一般管理費と特定の業務、その他収入と支出、リスク管理の集中化から生じるデリバティブ金融商品の特定の含み損益、利息支払いを含む。企業経費はさらに、すべてのリストラとその他経費とともにデリバティブ金融商品の時価勘定と関連する非現金調整を含む。
一般管理費は当四半期に900万ドル増加して、前年同期の2340万ドルから3240万ドルとなった。これは主としてグローバルな調達節減活動、退職関連項目、ユーロ高の決済処理の影響に関連するプロフェッショナル手数料増加に起因する。
同社は当四半期に一部製造施設の恒久的閉鎖に関連の420万ドルのリストラ経費とその他経費を計上した。この経費は主として、退職関連コストとともに非現金資産価値減損経費から成る。
同社は米ドルに対するユーロ高とともにロンドン金属取引所(LME)上でのアルミニウム価格上昇の結果として、デリバティブ金融商品の含み益として2180万ドルを計上した。これら含み益は、デリバティブ金融商品が決済され現金化されるまで、事業部門には配分されない。市況は日々変化するので、これら含み益は同社が決済で受け取る実際の現金含み益を表すものはない。しかしながら、デリバティブ商品の公正な価格が変動すれば、同社が当該ヘッジ項目に支払うことになる価格も変わる。
当四半期のフリーキャッシュフロー(FCF)は、前年同期の1億100万ドルに対して6840万ドルだった。FCFは運転資本へのLME市場価格上昇のマイナス影響を受け、運転資本の生産性を相殺するとともに、当四半期の資本支出(設備投資)は前年同期の4450万ドルに対して3880万ドルに減額となった。運転資本の生産性は、
販売の割合が2008年3月31日の16・5%から6月30日の16・2%に減少して過去12カ月の運転資本の改善が続いた。
同社は27億ドルの負債と4億4200万ドルの流動性で当四半期を終えた。継続事業からの暫定調整済みEBITDAは、2007年に行われたウォバッシュ・アロイとEKCOプロダクツ両社の買収を含めて、2008年6月30日までの12カ月で3億9300万ドルとなった。
▽上期業務結果
アレリスは2008年6月30日までの6カ月(上半期)に33億ドルの売上高と30万ドルの継続事業の損失を計上した。継続事業からの損失は、デリバティブ金融商品で7740万ドルの含み益、1370万ドルのリストラ・その他経費、1210万ドルの購入勘定項目、450万ドルのスポンサー管理手数料と経費、180万ドルの非現金株式ベースの報酬が含まれる。継続事業からのEBITDAは特別項目を除き、2008年6月30日までの6カ月で1億8390万ドルだった。
アレリスは2007年6月30日までの6カ月期間に、29億ドルの売上高と2170万ドルの継続事業からの損失を計上した。継続事業からの損失には、購買勘定からの7520万ドル、リストラとその他経費の880万ドル、スポンサー管理手数料と経費の460万ドル、非現金株式ベースの報酬180万ドル、デリバティブ金融商品の含み益4030万ドルを含む。継続事業からのEBITDAは、2007年6月30日までの6カ月期間で2億340万ドルだった。
継続事業からのEBITDAは2008年6月30日までの6カ月で特別項目を除き、前年同期の2億340万ドルに対して1億8390万ドルだった。この減少は北米の建築・建設・自動車産業における需要減少による前年比ボリューム減少と一部欧州のエンドユーザー産業内の軟化、同社アルミニウム投入コストへの商品コスト高騰による継続的影響に起因する。2008年決算は堅実な生産性利得の恩恵を受けたが、それはインフレ圧力、同社北米指定合金の拡大、ユーロ高の影響とともに欧州における有利な価格と製品ミックスを相殺した。
デメトリオ会長兼CEOは決算についてコメントして、「われわれはこの挑戦的な需要とインフレ環境の中で事業を続けながら組織を強化し、コスト基盤を最適化し価値ある収益成長の機会をつかむためのイニシアチブをとり続けてきた」と語った。
▽電話会議とウェブキャスト情報
アレリスは8月11日午前10時(米東部標準時)に電話会議を開催する。スティーブン・J・デメトリオ会長兼CEOとショーン・M・スタック執行副社長兼最高財務責任者(CFO)が、決算内容を話し合うため電話会議を主催する。
電話呼び出しは、プレゼンテーションの少なくとも10分前に866-831-6162もしくは617-213-8852、パスコード77923148で接続することができる。さらに、電話会議はインターネット(www.aleris.com)で生中継される。
電話会議のリプレーは、同社ウェブサイト(www.aleris.com)に掲載される。電話会議のテープ収録リプレーは、8月11日午後11時(米東部標準時)から同18日午後11時59分(同)まで、電話888-286-8010もしくは617-801-6888、パスコード59260028で接続して、入手できる。
▽アレリスについて
アレリス・インターナショナルはアルミニウム圧延製品と押出成型品、アルミニウム・リサイクリング、仕様合金製造のグローバルリーダーである。同社本社は米オハイオ州クリーブランド近郊のビーチウッドにあり、北米、欧州、南米、アジアに45製造施設を保有し、約8400人を雇用している。
アレリスの詳しい情報はウェブサイト(www.aleris.com)を参照。
前後の記事
記事バックナンバー
- [国際情報]高級アルミ製品のアレリス、第2四半期のEBITDA増加 2008/08/12 火曜日