アラスカ・パイプラン問題はコスト、ピアス連邦調整官
【ワシントン15日PRN=共同JBN】認可業務を担当する米政府高官は14日首都ワシントンで、アラスカ天然ガスパイプライン計画の価格高騰は、この大規模プロジェクトが直面する最大の障害であると語った。
アラスカ天然ガス輸送プロジェクトの連邦調整官ドゥルー・ピアス氏はワシントンで開催された最近の「プラッツ・エネルギー・ポーディアム」に出席し、アラスカのノーススロープから米国の主要市場にガスを輸送するプロジェクトの各種提案は危険な政治・金融・物流の領域を通過しているが、あらゆる局面で前進が見られたと語った。ピアス氏はプロジェクトが完了する最良のシナリオは2018年ごろだが、「より現実的な最初のガス輸送の日取りは楽観的に見て恐らく2019年だろう」と語った。
しかし鋼材価格は高騰を続け、認可と建設も遅れているため、米国史上最大級のエネルギーインフラ・プロジェクトの価格は上昇するだろう。最大のリスクは予算超過と日量40億立方フィート(1億1330万立方メートル)のガスをアラスカからシカゴに輸送するコストに与えるその影響である。
2006年後期から連邦調整官を務めているピアス氏は「もしこうした遅れが生じればコストは非常に高くつく」と述べた。同氏は州・連邦政府機関がひとたびプロジェクトを許可すれば、1シーズンの建設の遅れは「数10億ドルまでには至らないにしても数億ドル」の追加コストを発生させる可能性があると警告し、「ひとたび認可が下れば金融市場はプロジェクトを前進させるか否かの決定を下さなければならないだろう」と語った。
ピアス氏は遅れに遅れたプロジェクトが今後10-15年以内に建設される確実性の度合いを尋ねられて、「私は非常に楽観的で、そうなると思う」と答えた。同氏は「私は空のグラスではなく満杯のグラスを予想している。私は過去30年間よりも前進していると強く確信しており、ガスが市場に到達する時期が到来したと考えている。南部の48州は安定した価格で、安定した方法でパイプラインによる輸送ガスを必要とし始めている。このため私は今こそ建設する時だと非常に楽観視している」と語った。
このプロジェクトは2つの軌道で進められている。ノーススロープで石油とガスを生産しているBPとコノコフィリップスは、米連邦エネルギー統制員会(FERC)の認可を取得する活動でカナダ最大のガス輸送会社トランスカナダ(TransCanada)に一歩先んじている。FERCはこれら生産者が提案したデナリ・パイプラインの「充てん前プロセス」に着手することに同意したが、これはこの夏に生産者が一部現地作業を開始できることを意味している。BPとコノコフィリップスは、条件規定があまりにも多く未解決の税金問題にも対応していないとして、アラスカ州政府の承認を取得するための正式プロセスを回避した。
デナリ・パイプラインはアラスカ・ハイウエーに沿って敷設され、その後カナダの関連企業がアラスカ国境からカナダ・アルバータ州へガスを輸送する。BPとコノコフィリップスはFERCに対し、パイプラインは既存のカナダ-米国パイプラインに接続するか、あるいは出資者がアルバータ州から南東部の米国国境、そして恐らくはノースダコタ州、ミネソタ州、アイオワ州、イリノイ州からシカゴ地区まで延びるパイプラインを建設すると説明していた。
デナリはアラスカ州議会の承認を待つというトランスカナダ社の提案に対する生産者の代替案である。アラスカ州知事セイラ・ペイリン氏の政権は、開発者が州の支持と5億ドルの財政的インセンティブを得ることを定めた「アラスカ・ガスライン促進法」(仮訳、Alaska Gasline Inducement Act)の要件をほぼ満たしたとして、トランスカナダ社のプロジェクトを支持している。
ピアス氏によると、州政府当局者は予想されるガス生産量が2本のパイプラインを満たすことはないので、単一の計画として弾みをつけるためこの2つのプロジェクトを1つにまとめることを奨励している。しかし企業側はこの勧告に耳を傾けていないようだ、と同氏は語った。
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- [電力・発電]アラスカ・パイプラン問題はコスト、ピアス連邦調整官 2008/07/15 火曜日