米シノプシス、プローバー・テクノロジーに資本参加
【マウンテンビュー(米カリフォルニア州)、ストックホルム14日PRN=共同JBN】半導体の設計・製造ツールとIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、ナスダック:SNPS)とプローバー・テクノロジー(Prover Technology AB)は14日、シノプシス社がプローバー社に資本参加したと発表した。プローバー社は電車やポイント、信号機の制御を行い、安全性を左右する重要なシステムの開発で使用される信号設計自動化ソリューションを提供する企業である。プローバー社では今回の増資を活用し、研究開発を推進するとともに欧州、北米、アジアにおける業務の拡大を行う。
鉄道関連のシステム開発では現在、信号設計自動化が重要課題となっている。信号設計自動化では、数学的証明によって安全性解析を行う形式検証(フォーマル検証)を活用するが、このフォーマル検証は、欧州電気技術規格調整委員会(CENELEC/European Committee for Electrotechnical Standardization)などの安全規格団体が採用を強く推奨しており、多くの大手鉄道会社も信号設計自動化ソリューション・プロバイダーに対して強く求めている。その理由は、形式検証を採用すれば安全性と品質が向上し、また費用と時間がかかる他の安全性試験に比べて効率が良いためである。その有効性は、複雑な鉄道網を持つことで世界的に有名なパリのメトロでも実証されている。
パリ交通営団(RATP/Regie Autonome des Transports Parisiens)の安全性担当ディレクター、ピエール・シャルティエ(Pierre Chartier)氏は「パリ交通営団とプローバー社は2004年から緊密な協力関係にあり、連動システムとCBTC(無線式列車制御)システムのフォーマル検証を中心に作業を進めてきた。フォーマル検証手法を使えば、品質を最高レベルに保ったままコスト削減が可能である。プローバー社はこの分野で豊富な経験を有しており、素晴らしいパートナーである」と語っている。
シノプシス社の戦略企画担当副社長ランディ・ティンスリー(Randy Tinsley)は「鉄道システムにおける信号設計自動化が普及すれば、格段に鉄道の安全性が高まるとともに、鉄道システムの処理能力向上とコスト削減を効率的に進められるようになる。今回シノプシス社がプローバー社への資本参加を決めたことにより、今後は半導体の設計に用いられていたフォーマル検証技術を他の業界でも応用できるようになる」と述べている。
プローバー社の技術ソリューションは、幅広い顧客に利用されており、連動システムの仕様策定や開発自動化手法の業界標準に発展する十分な可能性を持っている。最近は、ますます環境に優しい輸送システムに注目が集まっていることからも、鉄道産業は今後大きく発展するものと思われる。プローバー社は今後、シノプシス社との関係を通じてこの成長のチャンスを活用できることになる。
プローバー・テクノロジーの最高経営責任者(CEO)ギュンナー・ストールマーク氏(Gunnar Stalmarck)は、次のように述べている。「シノプシス社との関係ができたということは、今まで手が届かなかったチャンスを活用できること、また従来よりも大規模で複雑な開発プロジェクトを推進できることを意味する。両社は、それぞれの業界のリーディング・カンパニーとして、また技術革新の担い手として有名であり、それぞれの分野において複雑化するシステムの開発に必要なツールを提供している。両社の技術は、非常に高い整合性を発揮する」。
▽シノプシスについて
シノプシス社(Synopsys, Inc.)は、IC設計向け電子設計自動化ソフトウェア(EDAツール)の世界的リーダーである。最先端技術を用いたエレクトロニクス・システムやICの設計プラットフォームと検証プラットフォーム、製造容易性と歩留まり最適化のためのソリューション、および設計資産(IP)やデザイン・コンサルティング・サービスを世界中のエレクトロニクス市場向けに提供している。これらのソリューションにより、複雑なICおよびエレクトロニクス・システムの開発と製造を実現する。広範囲にわたるソリューションを通して、パワー・マネージメント、歩留まり確保までの期間短縮、システムレベルからシリコンまでを網羅する総合検証など、設計者と製造者が今日直面している重要課題に対応している。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジアなど60カ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpで入手可能。
▽プローバー・テクノロジー(Prover Technology)について
プローバー・テクノロジー(Prover Technology)は1989年創業の株式非公開企業で、制御システムおよび信号システムの開発に関するソフトウェア製品とサービスを提供している。本社はスウェーデンのストックホルムにあり、完全子会社がフランスと米国にありる。同社の顧客企業には、エアバス、アンサルド、ボンバルディア、ニューヨーク市都市交通局、RATP(パリメトロ)、スウェーデン国鉄、タレスなどが名を連ねている。Prover Technologyの詳細はhttp://www.prover.com.で入手可能。
Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標。その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産。
問い合わせ先
日本シノプシス株式会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780 FAX: 03-5746-1781
(共同通信PRワイヤー)
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- [国際情報]米シノプシス、プローバー・テクノロジーに資本参加 2008/05/14 水曜日