「モッツァレッラ・チーズの食べ方」
日本でも既にお馴染みとなったモッツァレッラ・チーズ。
大きく分けると生のモッツァレッラチーズと、加工されたモッツァレッラチーズとある。加工されたほうは価格も安くピッツァのトッピング等に使われる。だが職人的ナポリピッツァの店に行けばピッツァには生のモッツァレッラチーズを使用するのでそのぶん値段が高くなる。生と加工したものとではそれだけ味も香りも違う。生の中でもとりわけ牛ではなく水牛乳から作られたものが最上級で、甘味も旨味も多い。多少分かりにくいのは、日本語で「水牛乳」と書けばいいのに、ちょっと格好つけて「モッツァレッラ・ディ・ブッファラ」と記していることが多く、読めない消費者は両者の値段の違いを理解出来ないまま安い牛乳のモッツァレッラを買ってしまう事が多いのではないか!?
生のモッツァレッラチーズは随分と我が国で食べられるようになった。この事には実は大きなメリットがある。それは鮮度の問題であった。昔と違い全国各地で消費されるようになると売れ残りが少なくなり回転が良くなるのだ。一般的に、鮮度がいい方が硬い食感となるが、最近は生のモッツァレッラチーズを冷凍保存したものも業務用として広く出回っている。見分け方は、解凍されたものをいただいても、冷凍していないもののほうが同じ硬さでもはるかにみずみずしいし、旨味もある。
最後にモッツァレッラチーズの食べ方についてだが、日本ではなぜか生トマト、バジリコ、アンチョビーと組み合わせたがる。いわゆる「カプレーゼ」だ。確かにそれは王道なのだが、現地イタリアではもっとシンプル。
①まず、そのままのモッツァレッラチーズにエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを垂らして食べる。これが一番良し悪しがわかる。
②次に、そのモッツァレッラチーズの上にフィレアンチョビーを1、2枚載せて一緒に食べる。
③モッツァレッラチーズの生ハム添え、までが一般的だ。モッツァレッラチーズさえ美味しければ、トマトもバジリコも必要ない。それでは物足りないであろう飽食日本人には、生モッツァレッラチーズ&生トマト&バルサミコ酢&オリーブオイルの組み合わせをおすすめしたい。もちろん、塩胡椒も忘れずに。
ちなみにモッツァレッラチーズというとナポリを連想させるが、モッツァレッラチーズの生産地域はローマとナポリの中間地点。実際はローマで大量に消費されている。作りたてのモッツァレッラが食べられる、という恩恵にあずかれるのだ。鮮度抜群のモッツァレッラチーズは噛み応えもある。ローマに行かれたら、是非お試しを。
本紙2018年4月7日付(2432号)掲載
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