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ケヴィン山内の英語まめ知識

ことば遊び 日米の比較

 皆様は舌鼓を何と発音しますか? 「したづつみ」? 「したつづみ」が正しい言い方です。分福茶釜を「ぶんぶくちゃまが」と言ったり、旅の恥はかき捨てを「旅の柿ははじ捨て」と言ってみたり、お子様ランチを「お子さらマンチ」と言うなど単語の頭の音を入れかえて遊んだことがありますよね。

 英語にも同様の遊びがあり、 I show you to a seat あなたをお席に案内します、を I sew you to a sheet あなたを敷布に縫いつけてあげます、 と言ったりして英米人も楽しんでいます。レストランや劇場で突然こう言われたらびっくりしますよね。これはウィリアム スプーナーという人がいつもこうしてふざけていたので spoonerism スプーナリズムと言い、日本語では頭音転換といいます。

 さて今度は数珠と書いて「じゅず」と読みますが、「ずじゅ」が正しいのです。山茶花と書いて「さざんか」と言っていますが、本当は「さんざか」です。他に新しい、を「あたらしい」と今では言っていますが、「あらたしい」でなくてはいけませんね。でも「あらたに」とか「あらためて」は正しい日本語の使い方としてまだ残っています。「なぎなた」は「なぎがたな」が正しく、山手線の駅名の秋葉原を「あきはばら」と言っていますが、最初は「あきばはら」だったそうです。

 英語も同じ発音ぐせがあり、 brid → bird、fresc → fresh、これは最後に「o オウ」を付ければ fresco フレスコ画となり、しっくいの新しい(fresh)うちに絵を描くので意味が通じますね。 burned → brand 真っ赤に焼けた鉄を牛の尻に押し所有者をはっきりさせたことから転じて、 発音が楽な brand がそのまま新しい呼び方で受け入れられるようになり、「ブランド 商標」を意味するようになった話は別のコラムに書きました。

 「three 3」はラテン語の「tri 3」から来ていて「t と r 」の位置はそのまま残っていますが、「third 3番目」は「r と i 」の位置が逆になっています。この third の発音が楽なので昔の人が変えてしまったのでしょう。こういう文字の入れ替えを metathesis 音位転換といいます。

 日本でも音楽関係者が好んで使う「そば」を「バーソー」、「女」を「ナオン」といったり、「ら」を抜く「ら抜きことば」などことばの遊びが好きですね。

 皆様は正しい日本語を喋っていますか? 今夜の「しーめ」はどこで食うか、なんてまさか言ったりしていませんよね。


本紙2013年10月27日付(2272号)掲載





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