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ケヴィン山内の英語まめ知識

アルファベットのAとGod(神)の関係

 以前「日本語になった外来語」を10回連載しました。その折メソポタミヤやエジプトで生まれたことばがどのようなルートを通って日本へ、して南太平洋のイースター島やアメリカ大陸へ到達したかを説明しました。今回の話も God (神)がなぜ日本語の牛(ウシ)になったのかをルートを辿りながらその秘密を解いていきます。私の敬愛する歴史言語学者の亡き川崎慎治先生の著書からお知恵を拝借しました。

 フェニキア人はシナイ文字をベースにアルファベットを実用化したことで知られていますが、アルファベットのまず頭になぜ A(a)を持ってきたのかその理由は何でしょうか。彼等が信仰するバール女神は牛の頭をトーテム(totem)としていたので、その牛の頭を図形化したものつまりそれが「A」でアルファベットの最初に持ってきました。すなわちそれは神であるから一番初めにしたのです。ちなみに2番目の「B」は神様の家(神殿)です。その牛の頭を gud(グドゥー)と発音しました。後にこの gud がインドを経てイギリスに渡り God になりドイツでは Gott となりました。フェニキア語での「A」の発音は現在判っていませんが、ギリシャではアルファでフェニキア語と同じセム語系のヘブライ語ではアルフまたはアレフと言われていました。

 蛇足ながらオーム真理教の新しい名称はアレフなんですよ。さて、BC4000年にメソポタミア河口で生まれたシュメールやウルの文化はアッカド、バビロニアへと続き、当時の世界で最も必要とされた鉱物資源のうち特に銅鉱石を求めて地中海からインド洋へと進出しました。そこで商人と船員と鉱山師の混成船団(ドゥーラビータ)は南パキスタンへ上陸しモヘンジョダロの町を作りそしてインドへ進出しました。彼等が持ってきた言語は鉱物資源を求めた山師により中国へ運ばれそのことばが日本へも到達しました。それとは別に彼らのことばは通商を求めてウリズムと呼ばれた外洋航海船団によって南アジア海岸やインドネシア、そして台湾や沖縄を経由して日本へ到達しました。

 さて、日本では牛(ウシ)は「ウシ」とも「ギュウ」とも言われますがそれはなぜでしょう。牛はインドで gaw (ガウ)と呼ばれ、それが中国を経て gu(グウ)となり日本へ伝わり gyu (ギュウ)となりました。ではウシの発音の方はどうなったのでしょうか。フェニキア語での牛神は gud (グドゥー)でしたがそれがウルに伝わると gud-ⅰ-ur(グディウル)「雄牛、ウル語で」という意味になり、それが日本へ入ると最初は gott-e-usi( rがsに変化)ゴッテウスィになりました。当時の日本人つまり倭人は「si」の発音ができなかったので「シ」と発音しました。そして kott-eus-i(コッテウシ)→ kott-ei-us-i(コッティウシ)→ kott-ei-uzi(コッティウジ)→ kotte(コッテ)→ kott-oi→ gott-oi(ゴットイ)となり途中で「usi」が消えてしまいました。
ところが現在の標準語の「ウシ」は「ウル語で」の意味であった わけですがその(usi)だけが残ってしまったので、標準語の「ウシ」からはもう語源が判らなくなってしまいました。「もう」といってもこれはシャレではありません。牛頭信仰はエジプトやイスラエルの他にインドへも伝わり、今でもインドでは牛は神様ですね、そしてお釈迦様は別名 god-a-maf(神+最大の)と呼ばれそれがゴータマという発音になりました。その牛頭信仰は日本へも伝わりスサノオノミコトは牛頭天王(ゴズテンノウ)と呼ばれています。「ゴズ」はもちろん「gud」からきています。

 みなさんこんな話を学校で教わったことありますか? 少なくとも英語の先生が God の由来だけでも教えてくれていたら私たちはもっと英語に興味を持っていたのではないでしょうか。

本紙2012年5月27日付(2221号)掲載





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