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社説 波紋

急な円高で輸出立国ニッポンは登りつめたところでハシゴを・・・

 鉄の生産、消費がその国の経済推移を示すバロメーターとした20年前と比べ今日の社会経済情勢は大きく変った。今や国内での鉄の消費は自動車生産の如何で決まる。かつての主力需要先の建設土木や建築部門(主に建材)はすっかり影を潜めてしまった感は否めない。

 先日鉄連が発表した最近の粗鋼生産実績をみても自動車向けとアジア向け輸出にオンブにダッコの形勢だ。前述のような鉄の消費が国情を示すなどどこにも当てはまらない。ともあれ自動車向けが多い高炉が勝って、建材向けの多い電炉が負けとなったといった鉄鋼メーカーの明暗は対岸の火事視では済まされない。

 韓国や米国なども同じ憂き目にあいそうなのだが、日本の円高に気を取られ足元の不安に気がつかないようでもある(米国ではすでに建築不況が始っている)外国のことはともかく我国の先行きは実に厄介な局面を迎えている。

 金融危機以前の生産水準にやっとこさ回復したと思ったら、昨今急な円高で輸出立国ニッポンは登りつめたところでハシゴを外されんとしている。


[2010年10月27日付け本紙2164号掲載分


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