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社説 波紋

ねじ輸出も中国の産業が活発に展開することで大幅増が期待される

 中国の今年の新車販売台数が千五百万台の見通しだという。09年にあと少しで前年比50%増(千四百万台)とする驚異的な販売台数を記録した反動も無く、今年はそれに対比して10%増と、まだ2桁増の熱は冷めない。

 日本が五十年以上も研鑽を積んで近年やっとのこと世界一を達成したというのに、中国はつい近年に至りGMだのVWだの欧米日の有力どころと手をくんだとはいえ、たった数年で世界一を達成してしまったのである。

 農業生産での中国の存在のは一目置く我々は、あらゆる工業分野でイニシアチブを握ろうとする中国に脅威を感じざるを得ないとすることができよう。

 国際標準化問題でも、TC1(ねじ)の幹事国を引き受けた中国はこともあろうかな「廃止規格のインチねじの復活」(ビジネスプラン)を提案したが、当初は「今さらインチねじでもあるまい」と一笑に付したのだが、今となってみると、一笑に付するチャチなことでも放ってはおけないという思いをさせられる昨今である。

 日本が世界市場を席巻した頃のこと、ヨーロッパ方面で何かにつけて日本のバイタリティーをヤリ玉にあげて批判じみた発言をいやというほど聞かされたものだが、中国の今の躍進ぶりは正に当時の日本を髣髴(ほうふつ)させてやまないものがある。

 日本やアメリカやヨーロッパの国々が経済の行方を息を殺して見守っている脇で、中国は息を大きく吸ったり吐いたり自在な素振りで夜明けを迎えたといったところだ。今年も一年、あらゆるジャンルで「中国次第」の推移を現出しそうな雲ゆきである。ねじ輸出も中国の産業が活発に展開することで大幅増が期待される。

[2010年1月17日付け本紙2136号掲載分]


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